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『アフリカ経済論』 [読書日記]

*この記事は7月22日(日)にいったん掲載しましたが、その後思うところがあっていったん下書きに戻し、26日(木)に再度掲載することにしました。記事の内容は22日時点のものですので、時制の整合がとれていませんがご容赦下さい。

アフリカ経済論 (現代世界経済叢書)

アフリカ経済論 (現代世界経済叢書)

  • 編者: 北川勝彦・高橋基樹
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2004/12
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
アフリカほど、生産や輸出の低迷、武力紛争と民主化、構造調整、貧困の深まりなど、今日の世界の直面しているほとんどの問題が凝縮して発生している地域はないだろう。2001年、アフリカ諸国は停滞を打ち破り、未来を切り開こうと「アフリカ開発のための新パートナーシップ」を採択し、大きく変わろうとしている。日本も、こうした動きに呼応して東京アフリカ開発会議を開催するなど、アフリカ支援を強めている。アフリカとのよりよい関係を築き上げていくためにも、今後いっそう理解を深めていく必要がある。本書では、植民地以前から構造調整に至る経済の歴史や政治と社会の変動のありようを紹介するとともに、今日のアフリカ経済を、製造業、農業、貿易、債務問題、HIV/エイズ、援助など多角的視点から考察した。
僕の大学院の論文指導教官から、自分の博士論文に直接関係しない仕事はなるべく断るようにと何度も注意を受けている。僕に研究にもっと集中させようとの親心からそう言って下さっているのだと思う。僕が2年前に転勤してきて今の仕事を引き継いだ時、前任者からは、これらの仕事が片付いたら自分のやりたい研究テーマに取り組んでもいい、と言われていた。だがその前任者の読みは甘く、引き継がされた仕事は、先月グレイな幕引きをやった1件を除けば未だ終了していない。いずれの仕事も地域的にもテーマ的にも僕は予備知識がほとんどなく、キャッチアップするにはそれなりに自分で勉強せねばならなかった。

40代も後半に入ってある程度の専門性が確立されてきている人間に、新入社員みたいにゼロから勉強せねばならない課題が与えられるのは正直戸惑いも大きい。それでも仕事だから手を抜くわけにもいかない。指導教官の厳しい視線に後ろめたさも感じながらこの2年間やってきた。

その苦労ももう少しで軽減される。今週、僕の担当の仕事では1つの大きなヤマ場を迎える。そして、多分これが最後の大きなヤマ場だろう。それが済めば、残務処理は当然あるけれども、行ったこともないような地域のことを専門書を開いて一夜漬けで勉強し、理解するのに難儀する英語の論文を辞書と首っ引きで読む必要もなくなる。これに関わって来られた内外の関係者の方々には、門外漢の僕が調整役をやっていることに対して困惑もされただろうし、迷惑なさったことも多かっただろう。そのことに関しては申し訳ない気がする。

この仕事に関しては、将来的にも僕のトラウマになって記憶に残ってしまうような出来事が1年前にあって、僕はそれに今でも苦しめられている。この仕事の話になると心拍数は上がるし、汗が噴き出る。関係者からメールを受け取ればドキッとするし、最寄り駅から職場まで歩くのが苦しいと感じたこともあった。その出来事について具体的に描くのは難しい。要するに、何十年もコツコツと努力を積み重ねて築き上げてきた能力が、ある著名なお方からあっさりダメ出しされ、一瞬にして自信が見事に崩壊したということである。気持ちの立て直しなどそう簡単にはできないし、それに類する仕事をする時には、思考回路が停止してしまったように思考と行動に重さを感じる。

そんなことがあったから、今回ヤマ場が越えたからといって、2年間にわたる自身の取組みの成果を、個人的に発展させたいとは思わない。かといって、前任者が言っていたように今から僕自身がここでやりたかったことを始めたいとも思わない。今始めたら長くここに留まらなければならなくなるから。

本の紹介とは全く異なることを書き連ねてしまったので、戸惑われた方も多いだろう。いつも言うように、これはマイカテゴリーが「読書日記」なので、要は「日記」だ。読んだ本に絡めて、今の自分の思いを述べさせてもらった。

実はこの本に関しては、購入したのが2010年9月頃で、すぐに読み始めたのだが、「第1部 歴史の中のアフリカ経済」の中の3章を読んでいる途中で挫折した。アフリカの今を語る場合には近代以前のアフリカ社会から植民地時代、独立後の経済政策までその歴史を理解することが必要だが(多分どこの地域の研究をやる場合にも歴史は必須だと思うが)、あまり行ったことがない地域の歴史はなかなか頭にすんなり入って来ない。

僕もそれ以降別の文献やメディアを通じて多少アフリカの歴史の勉強はしたので、今だったら読めるのではないかと思って再挑戦してみた。読んでいて躓く箇所は減り、比較的すんなりと読むことができた。もう1ヵ所読んだのは「第4部 アフリカ経済の課題と展望」の2章。これも、この2年間の間に共著者の考えを他の著作や論文で目にする機会があったので、「ああそういえばあそこでもそう仰っていたな」と思い出しながら読め、貴重な復習機会にはなった。

残る数章については飛ばしてしまったので言及のしようがないが、アフリカについて何か考えなければいけなくなった時、予備知識を得るために改めて読んでみたいと思う。

先週は、中国で中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)の第5回閣僚級会合が北京で開催され、中国が今後3年間でアフリカに200億ドルの借款供与すると表明したことが話題となった。2008年の第4回東京アフリカ開発会議(TICAD-4)で日本の福田首相(当時)が表明した円借款供与額は40億ドルだったことからすると、中国の勢いを感じないではいられない。それでアフリカが再び借金漬けになってしまわないかと心配もするけれど。

ちょうど本書を読んでいる時に行なわれた会合だった。中国が対アフリカ協力に乗り出すのはいいにせよ、アフリカ地域の政治経済社会の状況把握にはどれくらいの蓄積があるのかと少し興味が湧いた。日本が戦後賠償で対外援助を拡充していった時、並行してアジア経済研究所を中心として地域研究者が育ち、対象地域の理解に大いに貢献したと聞いたことがあるが、そういう地域研究に中国はどれくらいのウェートを置いているのだろうか。地域の状況を十分把握せずに行なわれる援助は、必ずしもプラスの影響だけを現地の経済や社会に与えるわけではないのではないだろうか。


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