SSブログ

『ロング・ロング・アゴー』 [重松清]

ロング・ロング・アゴー (新潮文庫)

ロング・ロング・アゴー (新潮文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/06/27
  • メディア: 文庫
内容説明
最後まで誇り高かったクラスの女王さま。親戚中の嫌われ者のおじさん。不運つづきでも笑顔だった幼なじみ。おとなになって思いだす初恋の相手。そして、子どもの頃のイタい自分。あの頃から時は流れ、私たちはこんなにも遠く離れてしまった。でも、信じている。いつかまた、もう一度会えるよね――。「こんなはずじゃなかった人生」に訪れた、小さな奇跡を描く六つの物語。『再会』改題。
2年少々前に発刊された直後に読んだ『再会』の再読。収録短編中最後の作品と書名が入れ替えられている。『再会』発刊当時に書いて当ブログに載せた感想は今でも有効だと思うので、リンクを貼っておきます。できればそちらの方もお読み下さい。
http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2010-01-08

今日は、本書とあまり関係のないことを書く―――。

記事を書いた当時、僕は日本に住んでいなかった。帰国の目処も立っていなかったが(というか、まだまだ帰りたくないと思っていたが)、それから間もなくして、「帰国しろ」という話が持ち上がり、不承不承ながら辞令を受け取った。

帰国からちょうど2年経った。その間に高校の恩師のご自宅を訪ねてお目にかかり、卒業30周年を記念して母校の同窓会も行なわれた。今年の夏は小学校の同窓会が故郷で開催されるらしい。ちょうど帰省予定の週末と重なるため、参加希望と案内状に返事を出しておいた。僕達が学校生活の殆どを過ごした校舎がこの夏に取り壊されることになったからだ。今週末にはその校舎が一般開放され、多くの卒業生がお別れに訪れる予定だ。

そうこうするうちに、大学時代に在籍していた英会話サークルもプチ同窓会をやるという。フェースブックのお陰でネットワークが再構築されたようで、僕の1年後輩の年次と僕の年次で集まろうという話である。僕自身は2年生の夏合宿で燃え尽き感があり、その後のサークル活動への参加がいい加減だったので、お呼びがかかっても出席には躊躇もする。今週開催されるプチ同窓会には顔は出そうと思ってはいる。

僕が大学時代のサークル活動について多少の躊躇があるのは、やり直せるならやり直したいという思いがそこにあるからである。いろいろな出会いがあって今僕は高校卒業と同時にやめてしまった剣道を再開し、大学時代も続けていたとしても学生でいる間には到達できなかった四段を今年取得した。ただ、段位がどうあろうと試合で戦う相手のほとんどが僕よりも年下で、攻撃が速くて強い。大学時代にやめずに剣道を続けていたら、今もそれなりの次元で戦えたのではないかと思う。確かにサークルのお陰で英語の力はついた部分はあると思うが、サークルで英語をやってなかったとしても英語の勉強はやらなければいけなかったともいえる。

話を故郷に戻す。先週末、僕は1人で帰省し、今年1月に出した自分の著書を図書館に置いてもらうために、母校の小学校、中学校等を訪問した。8月に取り壊される予定の小学校の旧校舎は、1階の廊下やトイレに昔の面影を感じた。校舎横に埋められているタイムカプセルを掘り起こさないといけない。卒業時に体育館裏に埋めたが、6年後に体育館が改築された時に一度掘り返されてしまい、僕らが高三の夏に有志で埋め直そうということになった。しかし、その有志数名のうち、当日埋め直しに行けたのが僕だけで、埋めた場所を知っているのが僕だけという状態が30年も続いている状態だ。今年はようやくその苦しい状況から脱出できそうだ。

中学校の校舎に足を踏み入れたのは1979年の卒業以来初めて。こちらの方は新校舎で最初の卒業生だったため、新校舎での生活はわずか1年間のみだったので、正直なところあまり記憶に残っていなかったが、今回職員室周辺を歩いてみて思い出したことも幾つかあった。中学3年間好きだった子と初めて話せた場所(靴箱)を見て、あの光景がフラッシュバックした。

里帰りの目的は、自分の著書について町民の方々を前にお話しさせていただくことだった。こういう形で地元にフィードバックできたのはよかったが、中学卒業以後足がかりのない故郷の町で、僕なんかよりももっと立派なのは、卒業後も地元に残って地元で今も暮らしている級友たちだと思っている。外から落下傘のようにやって来た人間が公民館大ホールの壇上に上げられるのは肩身が狭い。主催者と僕との間で思惑にズレを感じた1日だった。


タグ:重松清
nice!(3)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 3

コメント 1

nmzk

埋め直したタイムカプセルに再会できますようにヽ(^0^)ノ
by nmzk (2012-07-08 22:55) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0