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『資本主義以後の世界』 [読書日記]

資本主義以後の世界―日本は「文明の転換」を主導できるか

資本主義以後の世界―日本は「文明の転換」を主導できるか

  • 作者: 中谷 巌
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2012/01
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
崩壊に向かう世界経済、500年に一度の大変動に我々は何をなすべきか?ユーロ危機、財政破綻、貧困の蔓延、原発事故…「西洋からアジアへ」。迫り来る大転換に向けて日本の進むべき道を示す。
僕らが学生の頃、『入門マクロ経済学』という名著で大変お世話になった著者で、その記憶があるので、新しい著書が出るたびにそれなりの敬意を持って読むようにしているつもりではあるが、ちょっと満腹感が出てきた気がする。

20年ほど前に小室直樹、落合信彦、五島勉、藤井厳喜等がカッパブックスやNONブックス、ごまブックスあたりから盛んに出していた本と印象が良く似ていて、あまり露骨ではないけれども「陰謀史観」がかなり入ってきている。西洋の国々を擬人化して意図を持って世界を動かしているかの如き表現が目立つ。例えば次のようなもの――。
マッカーサーの日本弱体化政策は、ソ連の台頭とともに少なくとも経済面においては見直される故tになる。東西冷戦が激化してきたため、日本の共産勢力に対抗できる橋頭保として経済力を強化する必要うをアメリカが感じ始めたためである。このため、マッカーサーは占領政策を大きく転換した。それが朝鮮戦争勃発(昭和25年)の1、2年前のことである。「日本人自体は腑抜けにしておいてもいいが、経済だけは強くしなければいけない」と考えるようになったのである。(p.104)
断定的にスパッと書かれているので読み心地はいいものの、この本を何かに引用することは難しいかもしれない。折角著者が有名な経済学者なのに。擬人化してカッコ書きで発言か意見を書いている箇所は、出所も明らかにして欲しかったな。上で引用した箇所でも、カッコ書きになっている箇所は一体誰がそう言ったのかがわからない。どこかの公文書に残っているのだろうか。それとも、単なる想像なのだろうか。

論調は、テレビに出てくる評論家と似ている。言うのは構わないが、そのビジョンを具体化するために著者ご本人はどのような努力をなさるつもりなのだろうか。それが知りたい。

タグ:中谷巌
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うしこ

タイトルからして惹かれそうです。
「買わない本」リストに入れておかなくては。
by うしこ (2012-05-07 15:18) 

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