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『書くことが思いつかない人のための文章教室』 [読書日記]

書くことが思いつかない人のための文章教室 (幻冬舎新書)

書くことが思いつかない人のための文章教室 (幻冬舎新書)

  • 作者: 近藤 勝重
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/09/29
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
「文章を書く」とは、長い間の記憶から体験を引き出して描写することだ。自分にはそんな特別な経験はないと考える人でも、うまい引き出し方さえわかれば書ける。また、伝わる文章にしたいなら、くどくどと説明してはいけない。とにかく描写せよ。細部に目をこらして書けば、真に迫る。たとえばさびしい気持ちなら、「さびしい」と書くな。さびしさを表わす「物」を描写してそれを伝えよ―ベテラン記者で名コラムニストの著者が、ありきたりにならない表現法から、書く前の構成メモ術まですぐ使えるコツをやさしく伝授。
ここ数日間、あるレポートの執筆に大苦戦している。
書き始めるまでのリサーチに土日まで費やしてもまる1ヵ月かかった。参考となる英語論文を17本も読み、ようやく執筆開始に漕ぎ着けた。さあ書き始めようと机に向かったものの、頭の整理が付かずに早くに煮詰まり、一歩もそこから進めなくなった。いったんリフレッシュして再度集中しようと考え、僕は30日(金)にはとうとう24時間ガストで「早勉」までして書くことを箇条書きにした。これで「今日こそは書き上げる」と意気揚々と出勤し、机に座ったものの、全体4頁のブリーフィングペーパーの最後の1頁のオチの部分でふんづまった。結局21時30分まで格闘してとうとうギブアップ、敗北感タップリで会社を後にした。週末のお持ち帰り仕事だ。

もう1本、プライベートで書かなければいけないレポートが僕にはある。そちらは「数日後には提出します」と言いながら1ヵ月も遅れており。再三催促を受けている。だからこそ、仕事で書かされているブリーフィングペーパーは本当にこの金曜日でケリをつけたかった。悔しい。

そんな切羽詰まった状態で1ヵ月を過ごしてきたので、本日紹介する1冊も、もう少し自分の気持ちに余裕がある時であれば実習も交えてじっくり味わってみたかったと思う。本書は著者が講師を務める早稲田大学大学院ジャーナリズムコースの実習授業「文章表現」の授業内容がベースになっている。著者は毎日新聞の論説委員であり、コラムニストである。限られた字数のなかで、いかに読者の気を惹き、スラスラと読みやすい文章で、読者のイマジネーションを最大限膨らませて、読了して「良かった」と思わせる、そんな文章をどう書くかというテクニックが挙げられている。ブログで記事を書くときに参考にすべき示唆も多く含んでいる。

「書くことが思いつかない人のため」とタイトルにはあるが、それは本書の1/4に過ぎず、あとは「伝わる文章の秘密」、「そもそも書く手順とは?」、「文章はこう直す」といった、テーマは決まったけれど実際どう書いたらいいかといったところが述べられている。
以前自分の本を書いた時、エディターさんから、「事実を淡々と書きなさい」というアドバイスをもらったことがある。それを心がけながら原稿を書いた。そのテーマについて、僕は当事者ではなかったから、多くの文献を読み、多くの人から話を聞いて、淡々と事実を積み重ねるしかなかった。「説明はし過ぎないように」ともアドバイスされた。説明が多いとお仕着せがましく、読者は説教されている気分になる、だから、説明は最小限にとどめて、あとは読者がどう感じるのか、その感性に委ねなさいということだ。

僕は自分が書いた本のシリーズの続刊の原稿も見せていただいているが、エディターさんから言われたことがよく改めてよく理解できた。執筆者自身が当事者である場合、「事実」の描写を飛び越え、本人がどう感じたのかまで結構書かれてしまっている。、登場人物の描写にまで、著者の主観に基づく比喩がくっついている。当事者だったのだから客観的にはなかなか見れないという制約はあるのだろうが、著者の思い入れが強過ぎると、読む側としてはしらけてついていけなくなることが多い。

説明口調になる傾向も強い。読者を説得するのが目的となっているから、あれもこれもとテンコ盛り状態になり、読んでいる側は共感する以前に、「もうわかったから」と読むのを投げだすような事態に陥ってしまう。

単著の場合は視点がブレないからまだいい。片や当事者、片や学者の共著という場合、当事者の主観と学者の客観が入り乱れ、その上に論文チックな説明が続くところもあったりして、こりゃエディター泣かせな原稿だなと苦笑したことがつい最近もあった。

実はそうした経験を振り返りながら本書の目次を読み直して見ると、結構本書が示唆に富んでいるということを改めて実感させられた。

 -何を書けばいいのか:「思う」ことより「思い出す」こと。状況の再現
 -描写力をどうつけるか:「人に報告するつもりで見る」
 -描写と説明の違い:説明は必要最低限に。説明だけですませるな

 -「人プラス物」:事物に託そう
 -共感を呼ぶには:第一に場面提示。人、物、自然との関係を描こう
 
 -箇条書きから始める:アイデアはすぐに書き留める
 -現在・過去・未来の順に書く:何事も現在から。時の流れがわかるように
 -書き出しで興味を引くワザ:ズバッと書いて興味を引こう。気のきいた一文でさっと終ろう

 -「思う」「考える」「感じる」を減らそう
 -テンの打ち方

文章の書き方について書かれた本を多く読んだわけではないが、目次にあったこれらのキーワードぐらいは頭にとどめておき、ブログで記事を書いたりする時、レポートを書く時、そして他の人の書いたレポートにコメントする時などの参考にしてみたいと思う。

あ、「思う」って使っちゃいけなかったんだ。それが第一歩だ。

タグ:近藤勝重
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