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『経済大国インドネシア』 [読書日記]

最初にお詫びです。今日のソネブロはなんだか変で、予約投稿は機能してないし、仕方ないから携帯サイトから投稿ボタンを押したら、書いてあった記事のかなりの部分が途切れてしまいました。一度書いたことを思い出すのも大変だし、肝腎の本を図書館に返却してしまったので、参照することもできません。ごめんなさい。

っていうか、ソネブロなんとかしてくれ!安心して投稿もできない。

経済大国インドネシア - 21世紀の成長条件 (中公新書)

経済大国インドネシア - 21世紀の成長条件 (中公新書)

  • 作者: 佐藤 百合
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2011/12/17
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
リーマンショック後の2009年秋、欧米の格付け会社が、インドネシアの持続的成長能力と財政的安定を評価し、国債の格付けを引き上げた。以来、インドネシアの有望性は世界が注目するところとなる。2億4000万近い人口と豊富な資源を背景とした潜在的な国力は、2004年、ユドヨノ政権になって以降の政治的安定によって、さらに強固な成長要因となっている。中国、インドに続く“アジアの大国”のこれからを展望する。
そんなわけで、今日はインドネシアに関する近刊の紹介である。3週間ほど前の日経新聞日曜版の書評コーナーで紹介されていた。その翌日にたまたま図書館で見つけ、すかさず借りたというわけ。最近仕事でインドネシア絡みの論文を幾つか読む機会があるため、その予備学習と位置付けて読んでみることにした。

僕はインドネシアのことをあまりよく理解していない。行ったことがないわけではないが、それも19年も前のことだ。門外漢の僕が読んでもわからない地名や人名が結構出てくるので、僕にはサクサク読むというわけにはいかなかったけれど、多少でもインドネシアと仕事上接点のある人や、今現在インドネシアで暮らしているという人には、自分の得た断片的な情報を繋ぎ合わせて理解を深めるには格好の一冊だろう。経済、政治、実業界、文化と、インドネシアを包括的に捉えるのに非常にわかりやすくまとめられていると思う。などと僕が言っても説得的ではないかもしれないが(苦笑)。

本書を書いた著者の問題意識は次の通りである。
2004年に民主主義を確立したインドネシアは、政治体制の安定を確保した。これから2030年にかけて、インドネシアは人口ボーナスの効果が最も大きくなる時期にさしかかる。この2つの条件を得た今、人口、資源、国土からみたインドネシアの潜在的大国性が活かされる局面に入った。インドネシアはこれから、またとない持続的成長のチャンスを迎える(p.2461)

「インドネシアは変わり始めている」という認識を日本はもつ必要があろう。日本とインドネシアを、先進国と発展途上国、援助する側とされる側、大人と子供、と思っていると、相手が一人前の口をきこうものなら「生意気な」という反応が思わず出てしまう。そうした反応をインドネシア人は敏感に察知する。顔には出さないが、プライドの高い人たちだ。彼らの価値観からすると「ソンポン(傲慢)」というのは最低の人物評である。
 インドネシアが変わり始めている証左の1つに、すでにみた援助依存からの訣別がある。日本からの援助残高はまだ例外的に大きいが、毎年の支出純額でみれば2006年から連続してマイナスを記録している。つまり、援助供与額より返済額の方が上回っている。
 日本のソフトパワーをインドネシア人に理解してもらうのと同じように、日本人もインドネシアのソフトパワーを理解しようとすることが大切である。(p.242)
先ほども述べた通り、僕はインドネシアには19年前に1回行ったことがあるだけだが、仕事上はインドネシア人と最近接する機会がある。民間シンクタンクの方だが、筆は遅いがとにかく弁がたつ。僕の仕事は今の職場で異動する前任者から引き継いだもので、元々僕の問題意識に基づいて始まったものではないから、僕のインドネシアや東南アジア全体に対する理解などたかが知れている。そのインドネシア人は僕のそういうところを見抜いている。ある程度長い期間仕事をして、パートナーとして認知を受けないと、襟元を開いた付き合いはなかなかできそうにない。

インドネシアの「ソフトパワー」について、著者がこれからの世界において貴重な価値を持つと評価するのが「多様性に対する寛容さ」だという。確かにインドネシアは世界最大のムスリム人口を擁するイスラム教国だと言われるが、カトリックやプロテスタントのキリスト教徒や、ヒンドゥー教徒も結構住んでいる。何も知らなければイスラム教に対する僕らのステレオタイプ的イメージは必ずしも芳しいものではないかもしれないが、イスラムでなければいけないというわけではなく、いたずらにイスラムを意識させない企業経営、組織経営を行なえばよいのだと著者は主張している。

本書紹介記事をアップしたちょうどその日の朝刊各紙で、ホンダがインドネシアで二輪車の新工場を建設することが報道されていた。インドネシアは2030年頃にも世界有数の人口大国の地位にあり、しかも生産年齢人口がまだ若くて人口ボーナスを享受し続けられる。今後も長期間にわたって持続的な経済成長が期待できる。政治も安定しているから市場としての潜在性は非常に大きいということなのだろう。

僕のインドネシアに対するイメージは混乱期にあった1990年代で止まっていた。本書はそんな思考停止状態だった僕の知識情報ギャップを埋めてくれる貴重な1冊だった。


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