『もういちど生まれる』 [朝井リョウ]
内容(「BOOK」データベースより)1年前、高校の同窓会総会の幹事学年だった僕らの代で、総会時のアトラクションで何をやったらいいかというのが話題になり、世話人の1人だった僕の元クラスメートから意見を求められたので、「朝井リョウ君か中村航君を呼んだら?」という結構無責任なコメントをしたことがある。
彼氏がいるのに、親友に想いを寄せられている。汐梨、
平凡な日常と、特徴のない自分に飽き飽きしている。翔多、
絵を通して、壊れた家族に向き合おうとする美大生。新、
美人で器用な双子の姉にコンプレックスを抱く浪人生。梢、
才能の限界を感じつつも、バイトをしながらダンス専門学校に通う。遙。
あせりと不安を力に変えた5人が踏み出す“最初の一歩”。
そう、この2人は岐阜県立大垣北高校の卒業生で、卒業31周年を迎えた僕らにとってはかなり年次が下の後輩となる。僕らの母校の卒業生には地元の経済界で名をなした先輩方が多くいらっしゃるが、プロスポーツ選手はあまり輩出していないし、ましてや小説や文学の世界で認められる人も数少ない。2人はそうした、全国的にもその名を認められた卒業生なのだ。
ただ、僕は中村航君の作品に関しては『100回泣くこと』を読んでから次の1冊がなかなか手を出せないでいる。どうもその作品の透明感が僕と合わないような気がしたからだ。朝井リョウ君の場合は、『桐島、部活やめるってよ』を最初に読み、連作短編という面白い手法で書かれているのに興味を持った。どうもこの年齢になると、自分達の高校時代、大学時代というのに思いをはせる機会が多くなる。今の高校生や大学生は僕らの頃とは違うところも多いが、朝井リョウ君の作品を読んでいて所々で感じる若者の尖がっているところは、僕らの頃も形は違っていてもあったのではないかと思う。
朝井リョウ君の作品は、これからも機会があったら読んでみたいと思う。後輩だから、変な評価はしないと思うけど。
スミマセン、作品の紹介してないですね。連作短編の面白さは、同じ人物を見るのに、異なる人の目から見るとまったく違って見えるというところにある。ただ、冒頭の作品紹介の中でも登場している翔多と遥がバイト先で同僚で、翔多が通っている大学での憧れのクラスメートと、大学に通っていない遥が、高校時代にクラスメートだったという設定は、ちょっと無理があるんじゃないかなと思ったりはした。その辺が連作短編の難しさなのかも。
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