SSブログ

『当たって、砕けるな!』 [読書日記]

当たって、砕けるな! 青年海外協力隊の流儀

当たって、砕けるな! 青年海外協力隊の流儀

  • 作者: 吉岡逸夫
  • 出版社/メーカー: 高陵社書店
  • 発売日: 2010/08/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
彼らはこうして人生を飛躍させた。
人生を飛躍させた青年海外協力隊員13人の物語。
30日(火)、JICAのボランティア事業のあり方検討会の検討結果に関する公開セミナーというのが行なわれた。事業仕分けで叩かれたりとかして、JICAも青年海外協力隊(JOCV)事業が今までと同じではいけないという危機感があったのだろう。大学教授やNGO、民間企業、マスコミ、実業界等から有識者を委員として招いて、今年2月頃から何回かにわたって検討会をやったのだそうだ。でも、委員の顔ぶれを見ていて、海外活動を経験した帰国ボランティアの帰国後の社会還元について、誰が発言して下さっているのかよくわからなかった。

たまたま偶然だが、この公開セミナーの直前、JOCVに参加した13人の経験者のその後を追ったルポを読んでいた。

この13人の中には、個人的に面識のある方も含まれているし、なんと僕のブログに読者登録をして下さっている方も含まれている。この本の存在自体を知らず、たまたま本書を図書館で見つけて目次をパラパラめくっていたら、見慣れた名前が目に飛び込んできた。ああ、そういう方だったんだと改めて納得した。

著者によると、JOCVに参加した人のほとんどが、「得ることの方が多かった」と答えているのだという。そこで、実際に学んだことの方が多いのかどうかを証明するために、JOCV経験者のその後を追いかけるのがいちばんだと考え、13人の取材対象者を選んで、その人の人生全部を聞き出すことにしたのだそうだ。

確かに、本書を読んでいると、JOCV参加経験自体がメインではないというのはよくわかる。実は、13人の中には、JOCV時代にあまりいい経験をしていない人も含まれている。任期短縮で泣く泣く任国を後にした人もいる。しかし、JOCVから戻った後の人生については波乱万丈。帰国後ある会社に就職してそのまま同じ会社で勤め上げたという人は少なく、多くの登場人物が何度か仕事を変え、住む場所を変えている。

示唆に富む引用を1つだけ挙げるとしたら、これだろう。
 杢尾さんの人生は、まるで「ウサギとカメ」の話のカメのよう。歩みは遅いけれど、結局ウサギを抜いてしまった。杢尾さんは、受験戦争に勝とうと思ってガリ勉をやったわけでもなく、日本で大きな仕事をしたわけでもない。協力隊でも立派な功績を残したわけでもない。むしろ中途半端に終わっている。だからこそ、大きくなれるチャンスがあった。完璧な優等生だったとしたら、それは、盆栽のようにこぢんまりときれいにまとまりはするが、大木にはなれない。大木になるためには、ある種愚鈍で、はみ出していなければならない。(p.72)
ああ、この本、中2の長男と小6の長女に読ませたい。受験に成功していい学校に入り、いい大学に入って、まともな就職をするのだけが人生ではないぞ。いろんな人生があるというのを本書から学んで欲しいと思う。

とはいえ、JOCV時代の話というので1つだけ特記しておきたい人物もいる。1969年に病害虫管理の隊員としてインドに派遣された橘敏雄さん。マイソール州(当時)のガンジー記念財団の農園に配属されていたそうだが、その農園があったアルシケレという町は、バンガロールからも相当遠い。「バプ計画(Bapu Project)」というプロジェクトの一環だったらしい。14人の隊員がチームで派遣されていたという。バプ計画については名前しか聞いたことがない。カルナタカ州南部の話なので、ちゃんと調べておかないとね。


タグ:JOCV JICA インド
nice!(6)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 6

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0