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17.使命感を抱いた人 [S.D.Gokhale]

Gokhale1.jpg 韓国はアジアで初めてハンセン病撲滅を宣言した国である。そして、この一見不可能にも思える仕事を現実のものとして達成したのがルー・ジュン博士である。この有名な韓国人ハンセン病専門家は、母国においてハンセン病の影響を受けた人々に対して行なった支援活動が認められて、国際ガンジー賞を贈呈された。

 韓国でもハンセン病は深刻な問題だった。ハンセン病に罹患した人は社会から追放されるような扱いを受けるため、通常、町の郊外で暮らさざるを得ない。しかし、ルー博士はハンセン病の問題はそうした人々を社会から遠ざけることでは解決できないと考えた。彼は、経済的社会的なリハビリがこうした人々には必要だと考え、当時の韓国の大統領に、政府がこの人道的活動に関与するよう要請した。大統領の夫人がハンセン病の影響を受けた人々が暮らすコロニーを訪れ、その結果ルー博士の提言に基づく政府の政策は形成されたのである。

 博士は言っていた。「ハンセン病の問題は、体内のMレプラ菌(ハンセン病を発症させるバクテリア)を破壊しても解決にはなりません。この病気を持つ人々は、社会から受け容れられることが必要です。もしその人のビジネスがうまくいっていたり、その人が職を得ていたりして経済的に独立していれば、彼らと社会との距離は自ずと縮まっていくものです。」

 ルー博士は、ハンセン病コロニーで養鶏を始めた。それにともない、ニワトリの餌の生産のような補完的事業なども併せて行ない、経済的自立に向けた扉を開いたのである。事業や工場生産が軌道に乗ると、ハンセン病の影響を受けていた多くの人々はそれまでとは違った産業を興した。交通システムもそれには含まれる。こうした変容は20年以上かかって起ったが、ハンセン病の影響を受けていた人々は男性も女性も、こうしたコロニーにおいて影響を受けていないような人々と一緒に暮らしている。

 韓国が1993年にハンセン病撲滅を宣言した際、私は、光栄にも韓国の副首相やWHOのヌールディン博士とともに宣言式典に同席した。ハンセン病の影響を受けた人々がどのようにして財政的に健全な状態になるに至ったのか説明する中で、ルー博士は、ハンセン病の影響を受けていない人10人に1人しか車を所有していないのに対し、ハンセン病の影響を受けている人の場合は8人に1人が車を所有していると述べた。彼らの経済的繁栄を示す他の事例として、博士は電話や冷蔵庫、テレビなどにも言及した。ルー博士がこうした機会に行なっているスピーチを聞きながら、私はこうした輝かしい日がいつインドには訪れるのだろうかと考えた。

 こうした経済的発展を見ることは、そうした日がインドでハンセン病の影響下にある人々にも訪れてほしいという希望と自信を私に抱かせる。インドに住む人々は、日々の糧を求めて路上で物乞いをして過ごしていた。進歩は確実に訪れていると私は喜んで報告したい。国際ハンセン病連盟(ILU)の後援とルー博士のガイダンスにより、ハンセン病の影響を受けている人10人が韓国を訪れ、自分達を自立へと導くであろうプロジェクトについて学ぶことができたのである。
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toshi

コメントありがとうございました。
by toshi (2011-08-13 19:57) 

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