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『季節風 夏』 [重松清]

季節風 夏 (文春文庫)

季節風 夏 (文春文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/07/08
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
転校が決まった“相棒”と自転車で海へ向かう少年たちの冒険「僕たちのミシシッピ・リバー」、野球部最後の試合でラストバッターになった輝夫と、引退後も練習に出続ける控え選手だった渡瀬、二人の夏「終わりの後の始まりの前に」など一瞬の鼓動を感じさせる「季節風」シリーズの「夏」物語。まぶしい季節に人を想う12篇を収録。
頭の切り替えがあまりできていないうちに、次の仕事に巻き込まれている。時差が8時間もある国に到着して2日目の夜を迎えているが、夕方から眠くなり、深夜になって目が覚めるという完全な時差ぼけ状態だし、この2日間ほど集中して英文を読んでいるけれども、先週お伝えした通り眼鏡の新調が間に合わず、度が合ってない眼鏡で読み物をしているから非常に疲れる。僕の右目は乱視がひどく、眼鏡をつけてもはずしても、資料を近づけても遠ざけても、全く焦点が合わない。先日メガネ屋さんで指摘されて始めて気づいたのだが、僕は現在左目だけでものを見ている。それが理由なのかどうかはわからないが、出張に来てから左の肩こりがひどい。

英語の論文ばかりを読んでいると煮詰まってしまうと思ったので、書店で新規購入したり図書館で借りたりして、何冊かの小説を携行している。こういう時は短編集は重宝する。2年ほど前まで重松清は驚くべきハイペースで単行本を世に出していた。この1年はそのペースが落ちているが、その先行投資が効いているのか今年に入ってから文庫化される作品が多く、こういう旅のお供に文庫化された彼の作品を持ち歩くことが可能になった。『季節風』シリーズは『なぎさの媚薬』シリーズと同様、単行本の時にはわざわざ買ってまで読もうという気にならなかった。後者のシリーズをあまり読まなかったのには他にも理由があるが、『季節風』シリーズを買わなかったのはそれが短編集だったからだ。短編集は文庫化された後で読もうと決めていた。

考えてみたら、重松作品をご紹介するのは昨年11月の『季節風 冬』以来ではないかと思う。随分間を開けたが、そのお陰で、久しぶりに彼の作品を新鮮な気持ちで読むことができたと思う。その間に森浩美のような同じ家族をモチーフにした作品を世に放つ別の作家の作品にも触れてみたことで、重松作品の良さというのも改めて実感した。森浩美の作品の方がシャープな感じがするが、逆に重松作品はシャープでなく、ほんわりとしたところがむしろよいと感じる。

ただ、これは重松清の作品群全体に言えることだが、想定読者の年齢層を絞り切れていないように感じる。それが1冊ごとに異なるのであれば問題はないのだろうが、短編集で作品ごとに想定読者が違うだろという場合には違和感が相当ある。『季節風 夏』を読んでいてそれはとても強く感じた。

例えば、「虹色メガネ」はどう考えても小学生女子が想定読者であり、オヤジに似て小学生にして既にメガネっ子になっているうちの娘には読むのをお薦めしたい短編である。小学生読者を想定していると思われる作品としては、他に「僕たちのミシシッピ・リバー」と「タカシ丸」がある。読みようによっては「金魚」もそうかもしれない。

もう少し年齢層が上になって、中高生あたりの読者を想定していると思われる作品としては、「ささのは さらさら」と「終わりの後の始まりの前に」がある。それ以外の作品は、もう少し上の世代を狙っているように思う。たとえその中に小学生時代の回想シーンが登場してきたとしても…。

そんなわけで、「夏」をテーマにしている作品ばかりだとはいえ、想定される読者の年齢層がこれだけばらばらだと、僕の置かれた状況の中で、ピンとくる作品とそうでない作品とが明確に色分けされてしまうような気がした。このままこの本を日本に持ち帰り、中2の長男と小6の娘に、「これとこれは面白いから読みなよ」と言って勧めることはできる。同じ作品を読んで彼らから感想を聞いてみるのもよろしいかもしれない。本書はそういう使い方が可能で、そこを重松は狙っているのかもしれないなと思う。

「夏」をモチーフにした短編集の文庫化がこのタイミングであるというのは非常によく理解できる。が、僕がこの本を読み終わったここ英国では、日中の最高気温が20℃いくかいかないかで、半袖シャツばかり持って来た僕は寒さで震えている。早くも日本が恋しく感じるのは、仕事の上での不安ばかりが理由ではない。
タグ:森浩美
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