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電話持ってりゃ貧困じゃない [インド]

*この記事は、ブログの予約投稿機能を使って書いています。この時刻にPCの前に向かっていたわけじゃありませんから念のため。


今月初旬、東京でミレニアム開発目標(MDGs)の達成状況をレビューするフォローアップ会合が開催されたことは、実はあまりちゃんと報道されていなかった。ちょうどその頃の日本では、例の菅直人首相と鳩山由紀夫前首相の間での「言った」「言わない」のしょうもない泥試合があり、首相がいつ辞めるかばかりが取り沙汰されていて、真面目な国際会議がそれなりの扱いを受けなかったのだった。

それはともかくとして、2015年のMDGs達成期限まであと4年となっているが、インドではそもそも貧困層というのが何人いるのかという計算方法について昨年からずっと論争が続いており、2011年のセンサスでちゃんと把握しようというのが流れとなっている。そこで、貧困層人口特定作業を円滑化するため、幾つかの単純な質問で振り分けるフォーミュラが考えられているようである。

冷蔵庫、固定電話があればあなたは貧困層ではない
Fridge, landline will keep you out of BPL
2011年6月17日(金)、Times of India、Mathang Seshagiri記者
【バンガロール発】 冷蔵庫持ってますか?固定電話から電話してますか?こうした質問に対するあなたの答えがイエスなら、あなたは自動的に貧困ライン以下(BPL)リストから除外されることになるだろう。
 所属カーストや信仰宗教も聞いている初めての貧困層人口集計作業で、対象者の社会経済状況を決定する質問セットが準備される。2011年社会経済センサスでは、自動的に貧困ライン以上の人口とBPL人口を自動的に振り分ける23個の質問項目が設けられる。これに基づき、7月の連邦直轄領とトリプラ州を皮切りに、調査は行われる予定だ。
 農村開発省から各州に回付された2頁にわたる質問票案によると、貧困者リストから調査対象者を自動的に除外する質問項目が含まれている。固定電話か冷蔵庫を所有し、所得税か特定職業税を払い、政府職員の家族に属する人は貧困ラインより上に位置するとみなされる。農民クレジットカード所有者で50,000ルピーを超えるクレジットラインを持つ人と二輪車、三輪車、四輪車またはモーターボートを所有している人もBPLリストから除外される。原始的先住民や重債務労働者、ゴミ拾いは逆に自動的にBPLに含まれる。宗教やカーストといったデータも、誕生日、性別、既婚未婚といった人口情報とともにセンサスでは収集され、極秘扱いとして処理される。


例えば、こんな質問が準備されている。

-給料をもらえる仕事をしている?
-どのセクターで働いている?
-世帯構成員のうち、最も稼いでいる人の月収
-所得税か特定職業税を払っている?
-政府に登記登録されている企業を所有/経営している?
-世帯の主要所得源
-世帯で以下の品目を所有している?
 (固定電話/携帯電話、冷蔵庫、灌漑用機材、50,000ルピー以上のクレジットラインを持つ
 農民カード所有者三輪/四輪の農機、二輪車/三輪車/四輪車またはモーターボート)

この経済社会センサスでは、調査員には携帯型タブレットPCが貸与される。センサス調査で使用された後、このPCは村パンチャーヤトに譲渡され、農村開発事業で用いられるのだという。(なんというか、一種のバラマキですな。)

気になるセンサス調査の日程だが、4つの連邦直轄領とトリプラ州で7月に始まった後は、10月から12月にかけて人口の多いビハール、ウッタル・プラデシュ、マハラシュトラ、西ベンガルの4州で調査が行われる予定。僕が滞在中のカルナタカ州も11月に調査実施され、すべての調査は年末までに終了する予定だという。

でも、どうなんでしょうかね。固定電話か携帯電話を持っていると自動的にBPLじゃなくなるというのは、固定電話についてはわからぬでもないが、携帯電話まで含まれていると、BPL層でも携帯は持っている可能性も相当高いような気がするけれども…。因みに、農村調査の中で、世帯主の農家のご主人だけでなく、奥様が携帯を持っているかどうかを質問してみたところ、結構多くの奥様が持っていらっしゃると答えていた。

ついでに財布のひもを誰が握っているのかも聞いたのだが、養蚕農家の殆どが世帯代表者だけがお金の管理をしていた。中には夫が早逝した女性が世帯主になっている養蚕農家もあったが、なんとその女性が財布のひもを握っていた。その女性はこの地域に先進的農家として周辺農家の手本となっている有名な方で、笑顔が素敵な気さくな方でもあった。この方のお話は、別の機会に写真入りで再び紹介してみたいと思う。
タグ:BPL 貧困 MDGs
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rezare

私が住んでいたインドネシアでも、屋台を引っ張っている売り子さんや
バイクタクシーの運転手なども携帯電話、持ってました。
でも日本と違って基本はプリペイドなので、
1万ルピア(100円くらい)分だけ追加してしばらく使う。
通話はワンギリして受信のときのみしゃべる・・・などなど、
涙ぐましい節約をしている人が多かったです。

大体、自宅に固定電話がない家庭が多いのは、
毎月の定額契約料が払えないから。
だからこそプリペイドの携帯が急激に広がっているので、
貧困かそうでないかを分かつ基準には使えない・・・という気がします。

インドでも、状況は大差ないのでは?
というのは完全に想像ですが。。。
by rezare (2011-06-20 22:59) 

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