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『日本は世界第5位の農業大国』 [読書日記]

福島原発からの放射能漏れのお陰で、日本の農産品に対する諸外国のチェックが相当厳しくなっている昨今、この本を持ち出すのは遅きに失したかもしれない。原発事故の処理作業の進捗が捗捗しくない中で、日本が「Japan Cool」のブランドイメージを回復させ、日本の農産品に対する需要が回復してくるには相当な時間も要するかもしれない。が、あえて本日は紹介させていただこうと思う。

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)

  • 作者: 浅川 芳裕
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/02/19
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
食糧危機と農業弱者論は農水省によるでっち上げ!年生産額8兆円はアメリカに次ぐ先進国第2位!生産高―――ネギ1位、キャベツ5位、コメ10位!7%の超優良農家が全農産物の60%を産出。
昨年秋、TPP参加の可否を巡って様々な議論が飛び交ったが、農業関係者が反対を唱える論拠である食糧安全保障や農業弱者論に対して、本当にそうかなという疑問が正直言って相当にわいた。単純な疑問として、穀物の自給率が低過ぎるからもっと上げなければいけないというのなら、減反政策自体をやめて自由に作付をさせたらいいじゃないかと思ったし、農業生産性が上がったから、少ない作付面積でも国民のお腹を十分満たすだけのお米が作れているんじゃないかとも思った。生産コストが高くて国際的に競争に太刀打ちできないから弱者だと言われるけれど、日本のお米っていうだけで食品衛生上安全だというプレミアムだってつくだろうから(今はこの議論はできないが)、中国のお金持ちは買ってくれるのではないかと思う。人口高齢化が進むだけではなくて総人口自体が減少し、どうひいき目に見ても市場が拡大するとは思えない日本の国内市場だけを見るのではなく、お隣にある新興市場大国の潜在成長力を見越して生産拡大・輸出促進という発想になんでならないのだろうか。国内市場向けの生産だけなら農水省の所管だが、輸出振興となると経産省が絡んでくるから農水省が嫌がるのだろうか。


それを改めて気付かせてくれるという意味で、こういう本が出てきたのはとてもいいことだと思う。この本はコミセン図書室で借り、返却期限が迫っていたので慌てて読んだ。この記事を書いている時点で既に本自体は返却してしまっているので、具体的に印象に残った記述を引用してこの場でご紹介できないのが残念なのだが、かなり面白い論点を提供してくれる1冊なので、買って手元に置いておくのもコストパフォーマンス的には悪くはないと思う。

ただですね、1つだけ批判しとく。著者は与党・民主党の農政を相当厳しく批判しているが、逆にこれまでに自民党の歴代政権がやってきたことに対する批判的評価を本書の中では全くしていない。民主党政権になってから急に悪くなったというわけではなく、長い年月をかけて火種を作ってきたのは自民党ではないか。だから、民主党の政策を批判するのではなく、日本の農政全体を批判するという姿勢で書いて欲しいと思った。

残念なことに放射能漏れのせいで日本の農産物や水産物、加工食品等は海外市場で相当のイメージダウンが余儀なくされており、輸出促進には強い逆風が吹いている状態だ。いや、海外市場だけではなく、首都圏に新鮮な野菜や牛乳を供給していた北関東や東北地方の農家は、首都圏への出荷制限で壊滅的なダメージを受けている。今週は福島県の野菜農家の自殺の報道までなされている。しかも、この記事を読む限り、この農家の方は本当に真剣に、丹精を込めて野菜作りに取り組んでこられた方である。そうした真面目にやってきた人の生計の道を閉ざしてしまうのは本当にしのびない。

本書を読みながら、こういう、技術論のしっかりした農家の方々が残留放射能のせいでご自分の農地であっても当分の間は何を作っても売れないという状況であるのなら、こういう方々を海外に派遣して途上国で農園開発に一役買ってもらうということはできないものかとも考えた。農産物は海外に売れないかもしれないが、人材は海外でも売りにできるのではないかと思う。本書では海外で農業生産をもっと推進すべきと提唱されている。農業生産法人みたいなものを作って、企業としての海外進出を国として後押ししたらどうかと思う。(それでも農家の方は自分の土地に愛着をお持ちなのであろう。実現可能性がどれくらいあるのかわからないが、日本と途上国の双方にとってメリットがあると思えるのだけれど…)

ところで、話がかなり逸れるが、日本テレビの春の番組改編で、32年間にわたって平日朝の定番として親しまれてきた「ズームイン!」が、3月末を以て放送終了した。4月1日から「ZIP!」とかいう新しい番組が始まったが、10分でチャンネルを変えてしまった。芸能人ばっかり出演させていて、朝っぱらから油たっぷりのステーキを喰わされたような気分で、報道番組というよりもバラエティ番組という印象を受けた。こんな内容なら多分もう見ないと思う。

去年6月末に帰国してから、朝はたいてい「ズームイン!」だった。キャスターやニュース解説者の方々が落ち着いた口調で話して下さるのも良かったが、さらに言うと、朝の報道・情報番組の中で、外国人から見た日本の良さを我々に気付かせてくれるような街の素材を多く取りあげて、「なかなかやるじゃないか、ニッポン」という思いとともに、僕らを元気づけてくれていたのがこの番組だったのではないかと思う。勿論、海外でも人気のある日本の産品というのを幾つも紹介してくれて、行ってみれば本日紹介した1冊をさらに具体的に僕らに普及啓発してくれていたのが「ズームイン!」だったのではないかと思える。ホント、日テレは惜しい番組を手放したものだ。
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コメント 3

plant

こんにちは。
とても参考になりそうな本なので、今度探してみます。
農政に関しては、政党批判ではなく・・・と私も思います。
自民党にも民主党にも、利権依存と脱利権の双方の動きがありますので。
“農水省-農協”利権が良くないのだ、と私は判断しています。

ズームイン→ZIPについて
でも、辛坊さんが全国枠にも復帰するみたいですね。違うのかな?
関西では、辛坊さんメインの「す・またん」という番組が外枠になっていて、「ズームイン」よりもニュース解説(ユニーク!)重視です。
「す・またん」がそのまま続くようなので、一安心です。
(半年近くテレビ自体をほとんど見ていませんが。)
by plant (2011-04-02 13:03) 

Sanchai

plantさん、コメントありがとうございます。

「ズームイン!」はいいんですが、同じ日テレでも辛坊さんは上から目線で話されるし、不用意なことを一言でも口にするとすぐに口を挟んで追及してくるので苦手なのです。

今朝見てたら「ズムサタ」は存続のようなので、ちょっとホッとしています。その後の時間帯が辛坊さんだったので、途中でテレ朝の「旅サラダ」にチャンネルを変えてしまいました。

すみません、あまりいい返答じゃなくて…。
by Sanchai (2011-04-02 18:15) 

plant

おや、そうですか。
ウェイクアップの時なんか、まさに借りてきた猫なのに。
by plant (2011-04-04 18:26) 

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