ポスコのオリッサ製鉄所建設にゴーサイン [インド]
報じられてから1ヵ月以上経過してしまったのだが、さる1月31日、インドのジェイラム・ラメッシュ環境森林相は、懸案となっていた韓国・浦項製鉄（ポスコ）のオリッサ製鉄プラントの建設を認める旨発表した。日本ではあまり報道されなかったけれど、これは投資総額5,100億ルピー（約1兆円）にも及び、インド史上最大の外国企業による直接投資（FDI）となる。
少し振り返ってみると、このFDIを巡る問題は、2005年6月、ポスコがオリッサ州政府と覚書を締結したところに遡る。2011年末までに、ポスコは年産1200万トンの製鉄所の操業をジャガットシンプールで開始するというものだ。そして、2008年8月には、最高裁が、製鉄所用地として森林を利用することを原則承認し、環境省に対して、法に抵触しないかどうか確認調査を命じた。
問題がこじれたのは、2010年1月に環境省が森林を製鉄所用地として転用することが森林権法（Forest Rights Act）に基づき行なわれなければならないと言い始めた頃からだった。8月には同省は同法違反により事業停止を命じた。以後、10、11月にかけて複数の諮問パネルにおいて本件も調査が行なわれ、最高裁のクリアランスを一時保留するよう提言するとともに、情報隠蔽したポスコと州政府を批判した。その1つは、N.C.サクセナ博士が議長を務めるパネルだが、ここでは、オリッサ州政府が森林権法で規定されている森林の転用に必要な村落評議会（Village Council）のクリアランスを取りつけていないことを確認している。森林諮問委員会（Forest Advisory Committee）は、サクセナ・パネルの意見具申を支持している。
それでもラメッシュ環境森林相が事業許可を下したのは、この間延びした事業認可プロセスが外国企業から忌避されるリスクを恐れたからだと言われている。あまり周辺情報がない中で印象でしか語れないが、ヴェダンタのニャムギリ・プロジェクトとどこが違うのだろうかと疑問もわいた。同じ2010年1月に問題が浮上したにも関わらず、ヴェダンタは8月に事業停止が最終結論として決定されたのに、ポスコはなぜ認められたのかはよくわからない。
これらの新聞記事は、デリーに住む僕の知人が切り抜きを送ってくれたものである。結構タイムリーに切り抜きをまとめて送付してくれたにも関わらず、僕がその情報をちゃんと整理してブログの記事にまとめて紹介するのを少し面倒くさがってこの時期に至ってしまった。震災直後でタイミングも悪いが、やや逆説的ながらテレビ番組がどのチャンネルでも金太郎飴のようだったので、テレビを消して勉強でもしようと考えた（勿論ラジオは聴いている）。その第1弾である。
【関連記事】
"Posco, India's largest FDI project, cleared by Jairam"
Times of India, 2011年2月1日
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2011-02-01/india/28369388_1_captive-port-posco-plant-biggest-fdi-project
"Green Light's On: The nod to the Posco project is a business-friendly signal"
Times of India, 2011年2月2日
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2011-02-02/edit-page/28352875_1_steel-project-nuclear-power-projects-south-korean-steel
"Posco: Orissa tobegin land acquisition soon"
Times of India, 2011年2月1日
http://timesofindia.indiatimes.com/india/-Posco-Orissa-to-begin-land-acquisition-soon-/articleshow/7400694.cms
"A Dangerous First"
Times of India, 2011年2月3日
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2011-02-03/developmental-issues/28351488_1_forest-clearance-forest-rights-act-forestlands
"Jairam's panel seeks forest reforms, his babus for status quo"
Times of India, 2011年2月3日
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2011-02-04/flora-fauna/28367687_1_forest-bureaucracy-environment-ministry-tribals
少し振り返ってみると、このFDIを巡る問題は、2005年6月、ポスコがオリッサ州政府と覚書を締結したところに遡る。2011年末までに、ポスコは年産1200万トンの製鉄所の操業をジャガットシンプールで開始するというものだ。そして、2008年8月には、最高裁が、製鉄所用地として森林を利用することを原則承認し、環境省に対して、法に抵触しないかどうか確認調査を命じた。
問題がこじれたのは、2010年1月に環境省が森林を製鉄所用地として転用することが森林権法（Forest Rights Act）に基づき行なわれなければならないと言い始めた頃からだった。8月には同省は同法違反により事業停止を命じた。以後、10、11月にかけて複数の諮問パネルにおいて本件も調査が行なわれ、最高裁のクリアランスを一時保留するよう提言するとともに、情報隠蔽したポスコと州政府を批判した。その1つは、N.C.サクセナ博士が議長を務めるパネルだが、ここでは、オリッサ州政府が森林権法で規定されている森林の転用に必要な村落評議会（Village Council）のクリアランスを取りつけていないことを確認している。森林諮問委員会（Forest Advisory Committee）は、サクセナ・パネルの意見具申を支持している。
それでもラメッシュ環境森林相が事業許可を下したのは、この間延びした事業認可プロセスが外国企業から忌避されるリスクを恐れたからだと言われている。あまり周辺情報がない中で印象でしか語れないが、ヴェダンタのニャムギリ・プロジェクトとどこが違うのだろうかと疑問もわいた。同じ2010年1月に問題が浮上したにも関わらず、ヴェダンタは8月に事業停止が最終結論として決定されたのに、ポスコはなぜ認められたのかはよくわからない。
これらの新聞記事は、デリーに住む僕の知人が切り抜きを送ってくれたものである。結構タイムリーに切り抜きをまとめて送付してくれたにも関わらず、僕がその情報をちゃんと整理してブログの記事にまとめて紹介するのを少し面倒くさがってこの時期に至ってしまった。震災直後でタイミングも悪いが、やや逆説的ながらテレビ番組がどのチャンネルでも金太郎飴のようだったので、テレビを消して勉強でもしようと考えた（勿論ラジオは聴いている）。その第1弾である。
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"Posco, India's largest FDI project, cleared by Jairam"
Times of India, 2011年2月1日
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Times of India, 2011年2月2日
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2011-02-02/edit-page/28352875_1_steel-project-nuclear-power-projects-south-korean-steel
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Times of India, 2011年2月1日
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"A Dangerous First"
Times of India, 2011年2月3日
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2011-02-03/developmental-issues/28351488_1_forest-clearance-forest-rights-act-forestlands
"Jairam's panel seeks forest reforms, his babus for status quo"
Times of India, 2011年2月3日
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2011-02-04/flora-fauna/28367687_1_forest-bureaucracy-environment-ministry-tribals
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