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6.あなたは大切な人です [S.D.Gokhale]

Gokhale1.jpg プネ(マハラシュトラ州)の少年院で担当官として働いていた時、私は1人の役人から10歳の在監者について苦情を受けた。その役人はこう言った。「あのババンという少年は自殺未遂ばかり起こします。コンセントに指を入れてみたり、室内扇にひもをかけて首を吊ろうとしてみたり…」

 ババン君を精神科医の下に連れて行く前に、私は彼と話してみることにした。「君はなぜいつも自分を難しい状況に追い込もうとするのかな?」――私はやさしく尋ねてみた。

 彼はすらすらと答えた。「僕は死んでしまいたいんです。僕はそのうちにベランダから飛び降ります。」彼は大胆にも私を見つめてこう言った。

 彼と同じように攻撃的な態度を取ることに決めた私は、今すぐベランダに2人で行こうと提案した。そうすれば彼はすぐに飛び降りてしまうことができる。私がこんなことを言ったので、ババン君は明らかに驚いた表情を見せたが、それでも私とともに階段を上って行った。3階のベランダに着くと、彼は下を見下ろし、ためらいながらこう言った。「今日はやめておきます。明日にします。」

 私が彼の頭を軽く叩くと、彼は突然泣きじゃくり始めた。「先生は僕がなぜ死にたいと言っているのかわかりますか?私が死ねば警察が来て先生を捕まえてくれるからです。警察はまず先生を牢屋に入れ、そしてここと同じような収容所に入れてくれるでしょう。そうすれば、僕がここでどんなふうに感じているのか先生にもわかってもらえるでしょう。誰も僕達のような子供には注意を払ってくれません。本当に誰も僕達のことを世話もしてくれません。」

 少年の感情が激しく噴き出してきたのに心を動かされた私は、彼に私のオフィスボーイ(雑用係)になってみないかと尋ねてみた。私は確かにそうした雑用係が必要だったからだ。「ババン、私の提案を受けてくれないかな」――私は彼に請うてみた。

 それまで涙を浮かべていた彼の眼は輝き始め、満面の笑顔となった。そして彼は力強く首を縦に振り、私の提案を受けたいと言った。翌朝、彼は自分の新しい仕事に大きな誇りを持つかのごとく、きちんと服装を整えて私のオフィスの外にやってきた。

 ババン君に自分が役に立っていることを理解してもらい、目的意識を植え付けたことは、彼の自殺願望を封印しただけではなく、少年院の手続に大きな変更をもたらす第一歩となった。以後この少年院のスタッフは入所している子供達とは思いやりをもって接するよう指示を受けている。ババン君の変化を見守ったことで、スタッフは皆愛情と思いやりが驚くべき変化を本当に引き起こすこと、そしてこれこそが入所者とやり取りする際に必要不可欠な価値観であることを学んだ。

 人は誰でも周りから注目され勇気づけられることを求めている。そうすることでその存在が認められ、その自我が高められるのだ。少年院で私達が成し遂げたことなど小さな一歩に過ぎないが、それは正しい方向への重要な一歩であることはじきに証明された。
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