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『ラーム神話と牝牛』(1) [読書日記]

「バーブリー・マスジッド(バーブルのモスク)」またの名を「ラームジャンマブーミー(ラーマ生誕地)」の帰属を巡っては、最初の訴訟は1950年かもしれないが、事の発端は19世紀半ば頃にまで遡るものらしい。今回アラハバード高裁ラクノウ法廷の3人の判事が下した判決は、確かに政治的には重要だが、まだ高裁レベルの判決であり、結果が不服ならヒンドゥーかムスリムかどちらかが最高裁上訴するだろうと最初から言われていたので、あまり驚かない。これで決着がついたというわけではなく、まだまだ長い年月を要する問題だと思う。

BabriMasjid.jpgところで、以前東南アジアのイスラムについて調べようとして図書館に行き、所蔵のいろいろな文献のページをパラパラめくっていて気付いたのだが、日本で出版されているイスラム関連の書籍では、南アジアのイスラムについて言及されているものが意外に少ないようである。たいていは中東のイスラムで、よくて東南アジアや中央アジアのイスラムであったりするが、インド、パキスタン、バングラデシュ等のムスリムについて解説しているものは殆どない。東南アジアのイスラムについて勉強し始めた際、将来展望の1つとして、これを機会にできたらインドのイスラムとの比較をしてみたいと思っていた。そういう気持ちで書籍検索をしていて、ようやく見つけたのが1993年発刊のこの1冊であった。

あと30頁ほどで読み終わるのでいずれまたブログでも内容紹介したいと思うが、「瓢箪から駒」というか、本書は1992年12月6日にアヨーディアで暴徒と化したヒンドゥー教徒がバーブリー・マスジッドを襲撃し、モスクを完全に破壊するという事件(右写真参照)が発生して1年後に出版されており、バーブリー・マスジッド襲撃事件の背景と経緯について、日本語で詳細に書かれた貴重な1冊である。それだけではなく、ヒンドゥー・ムスリム間の対立が激化していった背景に関する説明はなかなか面白かった。

書店では手に入らない1冊である。図書館で借りて是非読んでみて下さい。
内容ご紹介は、この後別の記事で行ないたいと思います。

ラーム神話と牝牛―ヒンドゥー復古主義とイスラム (これからの世界史)

ラーム神話と牝牛―ヒンドゥー復古主義とイスラム (これからの世界史)

  • 作者: 小谷 汪之
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1993/11
  • メディア: 単行本


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