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ダムと開発-ナルマダ2題 [インド]

マヘシュワルダムに関する政府通達、建設作業中止を迫る
Centre's notice to Maheshwar dam Threatens to stop work
Down To Earth, 2010年3月1-15日号、Sumana Narayanan通信員
 マディアプラデシュ州カルゴン(Khargone)県内でナルマダ河に建設予定のマヘシュワルダムについて、中央政府はいったん許可された環境面でのクリアランスの取り消しを検討中だ。環境森林省が、ダム建設を受注している民間事業者(Shree Maheshwar Hydel Power Corporation Ltd.)に対し、建設作業を中止すべきでない理由があれば3月4日までにそれを示すよう(show cause notice)求めたもの。同省前でダム事業の影響を受ける住民グループが行なった抗議デモを受けたものである。
Maheshwar.jpg 環境保護団体Narmada Bachao Andolanの支援を受けた抗議グループによれば、ダム建設は80%が終了しているが、移転を余儀なくされる住民への補償については全く進展がないとのこと。環境森林省がダム事業者に発出された通達によれば、環境クリアランスは2001年5月に出されたが、その中で明記されていた住民への補償については全く行なわれていない。ラメッシュ大臣は2009年11月に、マディアプラデシュ州首相に対して、住民移転問題はダム建設と同時進行で行なわれねばならないとの見解を述べた文書を発出している。

Narmada.jpgマディアプラデシュ州カルゴンは、インドールから南に70kmほど下った町で、途中ナルマダ本流に架かった橋を渡って行く。この橋を渡ったところまでは車で行ったことがある。ただ、建設予定地は僕が橋から見たナルマダ河の少し上流にある。ナルマダ河流域にはマヘシュワル以外にもダム建設計画が多く、インドール南方にも幾つか予定されているダムがある。次の記事でご紹介するインディラ・サーガル(地図上は「ナルマダ・サーガル」になっている)もオムカレシュワルも、マヘシュワルダムの上流で建設が進んでいるダムだ。

隔週刊誌『Down To Earth』の3月発刊号にはナルマダ流域に建設中のダムに絡んで記事がもう1つ掲載されていたのでご紹介する。1990年代初頭に話題になった「ナルマダ河ダム問題」はこれらより下流のグジャラート州内にあるサルダル・サロヴァルダム建設が焦点となったが、このところの話題はマディアプラデシュ州内のダム建設に絡む問題である。
最高裁、ナルマダ灌漑事業で州高裁決定を翻し、水路建設を許可
Supreme Court allows canal work:
Overrules high court on Narmada irrigation projects

Down To Earth、2010年3月16-31日号、Ravleen Kaur通信員
IndiraSagarDam.jpg
 最高裁は、マディアプラデシュ州政府に対し、ナルマダ河に建設予定のインディラ・サーガル(Indira Sagar)ダム(上写真)とオムカレシュワル(Omkareshwar)ダム建設事業に係る水路建設の再開を認める決定を下した。2月25日、最高裁は、環境運動家メダ・パトカール氏が提出した嘆願書に基づいて州高等裁判所が行なった水路建設中止命令を却下した。メダ・パトカール氏は、流域植林計画を環境森林省が承認するまで水路建設を再開すべきではないと要求していた。
 2件のダム事業の環境審査をそれぞれ1987年と1993年に承認した際、環境森林省は、ダム集水域の整備計画とカンドワ(Khandwa)、カルゴン(Khargon)両県の流域住民の移転補償を建設認可の条件として義務付けた。計画自体は2009年10月に提出された。
 環境森林省審議官らは、同省のクリアランスがないまま建設を行なうことは、万が一この水路が農民の利益に繋がらないルートに掘られたり、表土の除去が土壌の塩分濃度の上昇に繋がる場合、公的資金の浪費に繋がりかねないとしている。しかし、K.G.バラクリシュナン判事が首席を務める最高裁法廷によれば、「15年間も行なわれてきた建設作業がこのような形で中止されるべきでない」とし、環境森林省に対し、5月までに計画を再審査し、最終決定を行なうようもとめている。作業再開はその後ただちに行なわれるとの見込みを示している。
この記事についても補足説明が必要。メダ・パトカール(Medha Patkar)女史は前半の記事でも出てきた環境保護運動Narmada Bachao Andolanの指導者の1人。

「ダムと開発」という問題についてはあまりこのブログで扱ってきたテーマではないのだが、大規模なインフラ整備で影響を受ける地域住民に低カーストや先住民がかなり多く含まれているという構図は僕的には看過できないので、注意して見ていきたいと思う。
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