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HTコットンの流出 [シルク・コットン]

Btコットンからの教訓
賛否両論が噴出する中2002年に導入されたインド最初の遺伝子組換え(GM)作物であるBtコットンは、インドを主要綿花輸出国の地位に引き上げた。Btコットンはこの作物最大の害虫であるワタキバガの幼虫(ballworm)に対する毒性が強い。ナグプール(マハラシュトラ州)にある中央綿花研究所(CICR)によると、インドの綿花生産は2003年までは1,800万ベイル(1ベイル=170kg)あたりで停滞していたが、2008年には3,100万ベイルにまで達している。

しかし、Btコットンは今では収量減少や農民の自殺、人と動物に対するアレルギー性降下物等の原因であるとして非難されている。国際食糧政策研究所(IFPRI)が2008年に行なった研究によれば、Btコットンと農民の自殺のあいだには直接的な因果関係はないと結論付けられている。IFPRIの調査レポートはしかし、Btコットンが「特定の県、特定の季節においては残念な結果を招いている」ことも認めている。
【出所】"Who gives a brinjal?" Hindustan Times, February 7, 2010
ここ1ヵ月ほどの間、Hindustan Times紙でBtブリンジャル(ナス)を巡る論争を追い続けているのはズィア・ハク(Zia Haq)記者である。ラメッシュ森林環境相が9日にBtブリンジャルの商業生産認可を先送りする決定を行なった後も、引き続きGM種子の話題を一貫して取り上げている。

そのハク記者が、15日(月)の第1面で「遺伝子組換えコットンが不法に作付されている(GM cotton crop farmed illegally)」という記事を書いている。既にBtコットンは導入認可がされており、GM種子といってもBtコットンの問題ではない。Htコットン(Herbicide-tolerant cotton)という、除草剤耐性種子の話題である。

Htコットンは未だ商業生産の認可を受けていない。にも関わらず、この記事によると、アンドラ・プラデシュ(AP)州で最後に収穫されたコットンの中から、Htコットンの特徴を持つ標本が8つ見つかったという。AP州当局はこれを遺伝子工学承認委員会(GEAC)に報告し、GEACは急遽綿花栽培州3州―AP州、グジャラート州、マディア・プラデシュ州に対応を急ぐよう指示したという。

市民活動家はこれを契機にGEACに対し、未許可の種子が混入したのはGM種子研究開発会社の一方的過失であるとする免責条項を適用すべきだと主張する。市民活動家の間では、これがBtブリンジャルでも起きる可能性があると懸念されている。

さらに記事では、Htコットン「MON1445」を開発した米モンサント社自身がHtコットン種子が混入し一部農家で生産が行なわれていたことを認め、GEACに昨年12月に報告を行なっていたと述べている。さらに、反GM活動家であるアルーナ・ロドリゲスさんも、「これはGEACによる深刻な失敗です。GEACが十分厳格であったなら、このような事態は防げたと考えられます」と述べる。

Btブリンジャルの認可に関する記事の中でも紹介したが、バイオテクノロジーの規制機関であるGEACについては、昨年10月の生産認可決定時に、規制機関としての独立性と中立性が欠如しているとの強い批判を浴びた。GEACの許認可のプロセスはざるですね。GEACについては今後組織再編が行なわれる見込みである。

さらに記事では、こうした認可前にGM種子が流出したのは今回が初めてではないとも述べている。Btコットンの商業生産は2002年に初めて認められたが、その頃までにはグジャラート州では既にBtコットンの栽培が農場で行なわれていたと言う。

まさに何でもありのインド…。誰もやってないところで掟破ってこっそり導入すれば、少なくとも短期的には相当有利な生産高を確保できる筈であり、少なからず抜け駆け(cheating)の余地がある。やっちゃう奴が必ずいると思う。
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