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映画封切前の場外戦 [インド・トリビア]

「私の名前はカーン」:問題の映画封切り間近
2月8日配信 インド新聞
 5日付のザ・ヒンドゥ紙(5面)によると、人気映画スター、シャールク・カーン主演の映画、「私の名前はカーン」がムンバイで12日から、封切られる。マハラシュトラ州政府は4日、上映を妨害するものは断固として排除するとの声明を出した。
 右翼政党シブセナは、シャールク・カーンがインドで行われる国際クリケット大会にパキスタン・チームが除外されたことに不満の意を表したことを批判して、各映画館にカーンの最新映画を上映しないようにとの警告文を送付している。
 パティル・マハラシュトラ州内相は、「カーンの映画を上映するすべての映画館は厳重に警備され、上映が妨害されることはない。騒ぎを起こす者がいるとすれば、それはムンバイやそのほかの都市の市議会選挙を視野に入れている者たちだ。シブセナは騒ぎを起こすことで、水問題などから市民の関心をそらそうと意図している」とシブセナを批判した。
12日(金)に封切られるシャー・ルク・カーン(SRK)主演の新作『我が名はカーン(My Name Is Khan)』が思わぬところで話題になっている。引用した記事にある「インドで行なわれる国際クリケット大会」というのは、2008年、2009年と開催されてきたIPL(インディア・プレミア・リーグ)のことを指す。かなり以前にご紹介した通り、IPLは一種のクリケット国際スター選手主体のオールスター戦であり、インド経済の「イケイケ・ドンドン」の象徴であった。今年も3月からインド国内で開催されるが、それに先立って1月に行なわれた選手選択会議(一種のドラフト会議)で、パキスタンの選手が1人も選ばれなかった。これに対して、IPLコルカタ・ナイトライダーズのオーナーであるSRKが異議を唱えたのが発端。これにマハラシュトラ州でマハラシュトラ人優先主義を謳う極右政党シブ・セナのバル・タッカーライ党首が噛み付いた。昨年の州議会議員選挙、下院総選挙等で議席数が伸び悩んだシブ・セナの失地回復策の一環だ。元々シブ・セナにしてもマハラシュトラ新生党(MNS)にしても、ムンバイはマハラシュトラ人のものであるという主張とともに、ムスリムを目の敵にするヒンドゥー原理主義の政党でもある。だから、ムスリムのSRKにはあまり好ましい印象はなかったのかもしれないし、ましてや映画がそのままズバリムスリムの話だから、ムンバイの映画館での上映を妨害したいというインセンティブはあったに違いない。

これに対してSRKは、「ムンバイはマハラシュトラ人のため以前にインド人のための都市だ」と主張。この主張は一理あり、ボリウッド映画俳優の殆どがSRKを支持し、実業界でもリライアンス・インダストリーズのムケシュ・アンバニ会長やクリケットのスーパースターであるサチン・テンドルカー選手も同じような主張をしている。さらには、シブ・セナ同様にヒンドゥー原理主義を戴く全国政党インド人民党(BJP)も、SRK主演映画の上映妨害の動きには反対を唱えている。

NyNameIsKhan.jpg『我が名はカーン』は随分前から話題にはなっていた。『Karan Arjun』や『DDLJ』、『Kuch Kuch Hota Hai』等、1990年代の映画では頻繁に見られたSRKとカージョルのゴールデン・ペアが久し振りに復活した作品でもあるし、米国ロケ地から飛行機に乗ろうとしたSRKが「My name is Khan.」と言って米国の空港職員から拘束され、別室で数時間にわたり事情聴取を受けるというハプニングがあり、スーパースターSRKを知らない米国の空港職員はけしからんとインドのマスコミがいきり立つという逸話もあった。年1本しか出演しないアーミル・カーンと異なり、SRKは年間3~4本は出演している。だから最近のSRK主演映画というのはそこそこ本数があり、どれがお薦めかと聞かれると困ってしまうことが多い。(2009年だったら『Billu』かな?)

こういうハプニングがあると、早めに観ておいた方が得策だと思うのだが、どうも映画館に行ってる余裕がこれから3週間の間にあるのかどうか…。少々不安です。
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