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50年前の新聞記事から [インド・トリビア]

1960年1月8日付: ハンセン病撲滅
dated January 8, 1960: Eradication of leprosy
アフリカとアジアからハンセン病を撲滅させるには、インドと日本が協調して取り組むことが必要――日本のハンセン病研究第一人者である宮崎松記博士はこう語った。ハンセン病抑制分野で優れた取組みを果たしてきたインドの関係者との交流を目的として博士は現在インド訪問中である。マドラスのコンネマラ・ホテルで開催されたマドラス・ライオンズクラブ主催の夕食会で、宮崎博士は冒頭、日本におけるハンセン病対策の取組みについて紹介し、その上で、日本ではこの問題への有効な解決策を今では見出していると述べた。日本における15,000人のハンセン病患者のうち、10,000人以上がサナトリウムや診療所に収容されているという。全世界でハンセン病に苦しむ患者は500万人にものぼるが、その95%はアフリカとアジアの国々に集中している。宮崎博士はこうした課題を指摘する一方、ヴェロール近郊で行なわれているリハビリのための取組みを高く評価した。
*原文はこちらからダウンロード可能です。
http://www.hindu.com/2010/01/08/stories/2010010855681202.htm
The Hinduという新聞の定期購読を昨年9月に始めて以降、この歴史ある全国紙には驚かされることが多い。同紙のは「あの年のこの日(This Day That Age)」というコラムがあり、何十年か前のこの日の出来事というのを紹介している。僕自身はこれまでこのアーカイブにはあまり興味がなく、殆ど読んでいなかったのだが、8日付の同紙の頁をぱらぱらとめくっていて、そこに「Leprosy(ハンセン病)」の文字を発見した。何だろうと思って読み始めたら、「日本」という言葉が出てきて、さらには「宮崎松記博士」まで登場してくる。

こういう、インド国内の社会問題への取組みについて日本や日本人がインドの全国紙に載ることは今でも極めて稀であり、宮崎博士が当時どれほど注目されていたのかを垣間見る貴重な記録だと思う。ただ、この記事を読んでみると、当時の日本では患者の強制隔離を以てハンセン病対策の成功事例と見られていたのだなというのもわかった気がする。50年後の今日、ハンセン病患者とその家族が置かれた状況を見て、宮崎博士はどのようにお感じになるだろうかとふと考えたりもした。

宮崎松記博士といえば、財団法人日印協会が四半期で出しているウェブ上の機関誌『現代インド・フォーラム』の2010年冬季号No.4の特集「対インド経済協力」に収録されている「対インド無償資金協力・技術協力・ボランティアの歴史を振り返る」の中でも言及がある。『現代インド・フォーラム』は最新号のみウェブ上からダウンロードできるらしいので、興味ある方はお早目にお読み下さい。

タイムマシーンで50年前のインドに来た気分である。このアーカイブはもうちょっと注目していきたいと思う。
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