『横道世之介』 [吉田修一]
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
今年も皆様にとって実り多き1年となりますよう心からお祈り申し上げます。
評判になっていた長編小説だし、これを読んで終盤泣いたという人も何人かいらっしゃることでしょう。確かに、一気に読めるくらい面白かったし、これに近い大学生活最初の1年は僕も過ごした経験があるため、共感を覚えるシーンは幾つかある。
ただ、それがためにあまり世之介のキャラクターにはあまり惹かれなかった。スミマセン。こんなこと書いて。でも、どこにでもいそうで、なんだかイイ奴なんてキャラは結構沢山いるし、それが何で皆の記憶にこれほど残るのかが理解しづらかった。駅でプラットフォームから転落した人を助けようとして自分が列車に撥ねられてしまうという顛末はあったにせよ…。
それに若干のひがみも入っている。どこにでもいそうなイイ人キャラがこんなに女の子にモテルなんてあり得ないって!高校時代に1人、大学1年時だけで2人だって?羨まし過ぎるぞ。どこにでもいそうだと言いつつ、この小説が映画化されたら、主人公・世之介はオダギリ・ジョーあたりが演じたらハマってしまいそうで、それを考えると、ちょっとクヤシイ。それとも、僕よりも4、5年後の世代ってこんな感じだったのだろうか。与謝野祥子のような超お嬢様キャラと普通のイイ人キャラが釣り合うという理屈も僕にはよくわからないし、たまたまカフェバーで近くの席に座ったイベント運営会社のOLから興味を持たれるなんて、そんなことが本当にあり得るのだろうか、それもよくわからない。
それだったら、大学1年の冬に西武池袋線椎名町駅近くの酒屋でウイスキーを1本買って当時住んでいた目白の学生寮に戻る道すがら、雨の中を傘もささずに歩いていた女性と山手通りのガード下近くですれ違った際に、僕が自分の傘を差し出していたら、僕の人生は変わっていたのだろうか…。実際そうしなかったから何も起きなかったわけですが(笑)、そこが世之介と普通のイイ人キャラの分水嶺なのかもしれない。
それに、またしても重要な登場人物が国連難民高等弁務官(UNHCR)事務所勤務でアフリカで難民支援しているって、最近の流行りかって突っ込みを入れたくなってしまった。『風に舞いあがるビニールシート』をまた思い出してしまった。この小説は生前の世之介の大学1年目の生活しか描いていないのだが、いささか物足りなさを感じた。何で祥子と別れてしまったのか、一度喧嘩しただけで二度と会わない別れ方ってあり得るのか、カメラマンを目指したのはわかるにせよ、どのような経緯を経て報道カメラマンになっていったのか、サンバクラブはどうなってしまったのか…等等。
この本を読んで泣いたという人、本当にごめんなさい。
…などと結構ボロクソ書いた後、こんなニュースを目にすると、やっぱりアリなのかなこんな小説、とも思う。
今年も皆様にとって実り多き1年となりますよう心からお祈り申し上げます。
内容紹介
楽しい。涙があふれる。本年最高の傑作感動長編!「王様のブランチ」「朝日新聞」ほか多数メディアで激賞。
横道世之介。
長崎の港町生まれ。その由来は『好色一代男』と思い切ってはみたものの、限りなく埼玉な東京に住む上京したての18歳。嫌みのない図々しさが人を呼び、呼ばれた人の頼みは断れないお人好し。とりたててなんにもないけれど、なんだかいろいろあったような気がしている「ザ・大学生」。どこにでもいそうで、でもサンバを踊るからなかなかいないかもしれない。なんだか、いい奴。
――世之介が呼び覚ます、愛しい日々の、記憶のかけら。名手・吉田修一が放つ、究極の青春小説!
評判になっていた長編小説だし、これを読んで終盤泣いたという人も何人かいらっしゃることでしょう。確かに、一気に読めるくらい面白かったし、これに近い大学生活最初の1年は僕も過ごした経験があるため、共感を覚えるシーンは幾つかある。
ただ、それがためにあまり世之介のキャラクターにはあまり惹かれなかった。スミマセン。こんなこと書いて。でも、どこにでもいそうで、なんだかイイ奴なんてキャラは結構沢山いるし、それが何で皆の記憶にこれほど残るのかが理解しづらかった。駅でプラットフォームから転落した人を助けようとして自分が列車に撥ねられてしまうという顛末はあったにせよ…。
それに若干のひがみも入っている。どこにでもいそうなイイ人キャラがこんなに女の子にモテルなんてあり得ないって!高校時代に1人、大学1年時だけで2人だって?羨まし過ぎるぞ。どこにでもいそうだと言いつつ、この小説が映画化されたら、主人公・世之介はオダギリ・ジョーあたりが演じたらハマってしまいそうで、それを考えると、ちょっとクヤシイ。それとも、僕よりも4、5年後の世代ってこんな感じだったのだろうか。与謝野祥子のような超お嬢様キャラと普通のイイ人キャラが釣り合うという理屈も僕にはよくわからないし、たまたまカフェバーで近くの席に座ったイベント運営会社のOLから興味を持たれるなんて、そんなことが本当にあり得るのだろうか、それもよくわからない。
それだったら、大学1年の冬に西武池袋線椎名町駅近くの酒屋でウイスキーを1本買って当時住んでいた目白の学生寮に戻る道すがら、雨の中を傘もささずに歩いていた女性と山手通りのガード下近くですれ違った際に、僕が自分の傘を差し出していたら、僕の人生は変わっていたのだろうか…。実際そうしなかったから何も起きなかったわけですが(笑)、そこが世之介と普通のイイ人キャラの分水嶺なのかもしれない。
それに、またしても重要な登場人物が国連難民高等弁務官(UNHCR)事務所勤務でアフリカで難民支援しているって、最近の流行りかって突っ込みを入れたくなってしまった。『風に舞いあがるビニールシート』をまた思い出してしまった。この小説は生前の世之介の大学1年目の生活しか描いていないのだが、いささか物足りなさを感じた。何で祥子と別れてしまったのか、一度喧嘩しただけで二度と会わない別れ方ってあり得るのか、カメラマンを目指したのはわかるにせよ、どのような経緯を経て報道カメラマンになっていったのか、サンバクラブはどうなってしまったのか…等等。
この本を読んで泣いたという人、本当にごめんなさい。
…などと結構ボロクソ書いた後、こんなニュースを目にすると、やっぱりアリなのかなこんな小説、とも思う。
吉本多香美、元日再婚!お腹には“3世”も末永くお幸せに!
1月1日7時52分配信 サンケイスポーツ
女優、吉本多香美(38)が初恋の人であるパフォーマーアーティスト(38)と元日に再婚し、今春第1子を出産することが12月31日、分かった。複数の関係者によると、お相手は高校時代に付き合った同い年の男性で、昨年ごろから真剣交際に発展。新しい命が宿ったことで結婚を決めた。初代ウルトラマンのハヤタ隊員役で知られる父の俳優、黒部進(70)も、初孫となる“ウルトラマン3世”の誕生を心待ちにしている。
“ウルトラマンの娘”が、密かに初恋の人と永遠の愛を成就させ、新しい命も宿していた。
2人を知る複数の関係者の話を総合すると、お相手はパフォーマーアーティスト、Aさん。“体操のおにいさん”ことタレント、佐藤弘道(41)似のイケメンといい、なんと吉本が高校1年生の時に初キスを体験した初恋の相手だという。
吉本は2001年に外資系証券会社に勤める米国人男性と結婚したが、感性の違いから4年前に離婚。発表のタイミングを逃し、離婚は今まで公になっていなかった。
そんな吉本の心のすき間を埋めたのが、Aさんだった。2人は互いの道を歩み疎遠になっていたが、運命の糸に導かれて再会。吉本が相談に乗ってもらううちに、いつしか心の支えとなり、真剣交際に発展した。
さらに、お互い信条としている自然保護が、2人の絆をより強固なものにしたという。青森・六カ所村で森林の再生活動を行うなど環境問題に取り組む吉本と、音楽や写真などを通じて美しい海や原生林を残そうと活動するAさんの生き方は、ピタリと合致。現在、自然保護活動をともにしている。(後略)
明けましておめでとうございます。
今年よろしくお願いします。
by シンシン。 (2010-01-03 11:29)