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『愛と名誉のために』 [ロバート・パーカー]

Love and Glory

Love and Glory

  • 作者: Robert B. Parker
  • 出版社/メーカー: Dell
  • 発売日: 1984/09/01
  • メディア: マスマーケット
内容(「BOOK」データベースより)
21歳の夏、作家志望の青年ブーンは、ジェニファとの恋を失った。人生の目的をなくした彼は、酒に溺れ、失業を繰り返し、やがて抜け殻となった魂を抱えて流浪の旅へ出る。彼女にあてた、投函されることのない何通もの手紙とともに。が、7年の歳月を経ても変わらぬジェニファへの愛は、ある日ブーンに再生を誓わせる。青年の挫折と再生を通し、スペンサー・シリーズの著者が男の愛と誇りを問いかける感動の恋愛小説。

思い出の本である。少し前に同じパーカーの『初秋』を紹介したが、『初秋』同様、思い出の本という意味ではこの『愛と名誉のために』(原題:Love and Glory)は5本の指に入る。少なくとも4回は読んでいる。しかもそのうち1回はペーパーバックで原書も読んだ。今や訳本の方は絶版になってしまっているが、幸いなことに僕は早川書房から出ていた単行本を自宅に所蔵している。

『初秋』が父と子の関係を主題としていたのに対し、『愛と名誉のために』は男の女に対する変わらぬ愛がテーマだ。本書の紹介に描かれている通り、ニューイングランドで恋に破れたブーンは、そこから西へ西へと向かううちにどんどん転落し、放浪の旅に身をゆだねるようになっていく。昼間からウイスキーのボトルを手放さず、酔っ払って過ごす。そうして西海岸のマリブビーチ(だったと思う)に辿り着いた時、自分を磨き上げてジェニファーを取り戻す決意をするのである。波に洗われて再生への決意を強めていくシーンはとても印象的だ。

そこから再生への途は、『初秋』におけるスペンサーがポール・ジャコミンに対して行なったトレーニングや様々な指導と非常によく似ている。体力が完全に落ちていた最初のうちは体が全くついていかない。それが、ジョギングなんかも入れて、体力を徐々に取り戻していく。確か図書館で本を借りて読むといったプロセスも描かれていたように思う。ジェニファーを取り戻すためには自分がジェニファーに相応しい男になる必要があるという強い決意がブーンを突き動かす。このプロセスの記述もかなり印象的だ。

こういう本を、僕は今の妻と付き始める前後に読んでいた。妻に相応しい男になれたかどうかはわかりません。

舞台は1960年代のベトナム戦争の頃。当時の男の女に対する愛情というのはこんな感じだったのだろう。

こうしてあらすじを紹介してみて、なんだかストーリーが2004年公開の米国映画『Notebook』とよく似ているような気がしてしまった。『Notebook』の方は7年の歳月を経て2人は遂に一緒になり、その後妻が老衰で亡くなるまで夫は添い遂げるのであるが、本書のブーンとジェニファーも、こんな感じで老後まで過ごせたのだろうか。

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toshi

ご訪問ありがとうございました。
by toshi (2009-12-19 09:29) 

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