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『傾聴ボランティアのすすめ』 [読書日記]

傾聴ボランティアのすすめ―聴くことでできる社会貢献

傾聴ボランティアのすすめ―聴くことでできる社会貢献

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 2004/12
  • メディア: 単行本
内容(「MARC」データベースより)
高齢者が話を聴くことで同世代の心をケアする「傾聴ボランティア」。聴く側、話す側の両方を元気にし、よりよい人間関係づくりに役立つ新しい生きがい活動の方法と実例が分かる手引き書。

前回ご紹介した『「痴呆老人」は何を見ているか』を読んでいて、必然的に次は『傾聴ボランティアのすすめ』を読むべきだろうなと思って手に取った。本自体は6月の一時帰国の際に購入してあったが、なんとなく読むタイミングをつかめずに書棚で寝かせてあったものだ。

「傾聴ボランティア」――多くの読者の方にとっては初めての言葉かもしれない。言い換えれば、「シニア・ピア・カウンセラー」、即ち、悩みや不安を持つ高齢者の相談相手となる、カウンセリングの基礎を身に付けた同世代の高齢者の活動をこう呼んでいる。言わば「出前のお話し相手・相談相手活動」とも言えるが、ポイントはこの話し相手ボランティアは聴くためのトレーニングを積んでいるというところにある。

元々は米国の「シニア・ピア・カウンセリング」から派生したものだが、米国型の個室における(有料)カウンセリングから脱却し、日本の実状に沿って、「話したくても話せない(話す機会がない)」高齢者の相談相手、話し相手としての活動に転化していったのが「傾聴ボランティア」だ。

「傾聴ボランティア」に興味を持ったのは、自分がいずれは自分の住む地域の中でそこに住むお年寄りのお話に耳を傾け、地域の歴史を住民の目線から纏めてみたいと思ったことがある。祖母が亡くなる数年前からそんなことを考えていたが、実行に移すのが間に合わなかった。そういうお話を聴くことで、お年寄りの方にも自分の歴史を振り返っていただき、プライドを持っていただけたらと思った。

そうした形で地域と関わるのはインド在住の身としてはもう少し先のことになってしまうが、喫緊の課題はインドでも高齢者・障害者介護施設訪問が近々実現する可能性が高いことであり、その際に何に気を付けるべきか、どのような言葉遣いや態度で臨むべきか、どんな話題を持ち出したらいいのか等を再確認しておきたいと思ったからである。

つまり僕自身がどのように相手の話に耳を傾けるかという方法論を知りたいという問題意識だったわけだが、本書を読んでみて、「傾聴ボランティア」は、「高齢者が高齢者の話し相手になる」という高齢者のピア・カウンセリングの発想が前提となっていることを初めて知った。従って、僕が何を実践しようとも現時点で僕が高齢者ではないために厳密には「傾聴ボランティア」とは言えないことになる。

ただ、傾聴ボランティアの要諦は以前から多少たしなんできた「インタビュー型ファシリテーション」を高齢者対象に行ない、実施主体自身も高齢者というのに過ぎないようにも思えた。
傾聴ボランティアは、「解決してあげる人」ではありません。あなた自身がよかれと思う解決策をすぐに提示するのではなく、傾聴活動の中では、むしろ、お話を聴くことを通して、相手が真に何を求めているのかを知ることが大切だと私たちは考えています。真に求めていることが分かると、本人自身がよりよい解決の方法を思い付くかもしれません。(中略)私たちができることは、相手の方にできるだけ多く話をしてもらい、そのことによって、その方自身の心の負担が少しでも軽くなるようにお手伝いすること、また同時に、考えの整理がついて自分なりの判断や納得に至ることのお手伝いをすることです。(中略)その人が悩むその問題について、一番よく知っているのは当の本人であることを理解する必要があります。その人が求めているのは、あなたの価値観に基づく何らかの解決策ではなく、考えをまとめるためのサポートです。混乱している場合には、混乱を解きほぐすお手伝いをしてほしいのです。

 また仮りに、「話を聴くことしかできない」としても、それはとても重要なことです。何故なら、その方の周りにいる人の誰でもができることではないからです。人は語ることによって心が軽くなる、心が浄化されるといいます。また、誰か他の人に話を聴いてもらうことによって、悩みの半分は解決されたも同然ともいわれます。それほどに、誰か話す相手がいるということは大事なことです。人は一人では生きていけないのですから。場合によっては、言葉を介してのコミュニケーションだけではなく、とにかくその人とともにいること自体がその方の心の安らぎや支援になることもあります。(pp.1-3)
高齢者を相手とする分、特別な配慮も必要だということがこれらの引用からはなんとなく伝わってくるが、例えば「とにかくその人とともにいること」やその人を見守っているということを相手に知ってもらうことの重要性は、僕達が子供と接する時でも同じことがいえるのではないかと思う。解決策を見出すのが結局は自分でしかないというところも。

残念ながら現時点で僕が「傾聴ボランティア」としての研修を受けるのは時期尚早かもというのがわかったが、一方で本書に収録されている座談会の中で、「この活動は、社会のいろいろなセクターに広めていってほしい。始まりはシニア・ピアとして、シニアから始まっているが、世代間の交流のための非常に大きな武器になる」「本当に広まって普及したら、傾聴ボランティアなどとわざわざいわずに、ごく普通の人が普通にいい人間関係を持つということを誰もがすでに身に付けている、そんな社会になってほしい」といった発言に見られる通り、別にシニア・ピアに限定しなくとも本書に述べられていることは僕らが普通に実践できるノウハウとしてもっと普及させていかなければならないのではないかと思った。

知らなかったけれど、この本は続編が最近出たらしい。2004年に出版された本日紹介した本では、①傾聴ボランティアのトレーニングは高齢者でないと受けられないのかという疑問にはちゃんと答えられてなかったし、②子育て支援や介護に関わる家族の傾聴といったシニア・ピアを越えた傾聴の普及等は今後の課題となっていて未着手の状況のようだった。だから、続編が出ればそのあたりは相当にカバーされているのではないかと思うが、いずれ読んでみたいと思っている。

新傾聴ボランティアのすすめ―聴くことでできる社会貢献

新傾聴ボランティアのすすめ―聴くことでできる社会貢献

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 2009/08
  • メディア: 単行本


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