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デリー地下鉄の効果 [インド・トリビア]

10月7日付のHindustan Times第1面に、「地下鉄は機能する―デリーの道路の個人用車両は減少(METRO WORKS: FEWER PRIVATE VEHICLES ON DELHI'S ROADS)」という興味深い記事が載っていた。デリー地下鉄(DMRC)の間接的効果は実際かなり大きいという趣旨の記事で、最近発表された中央道路研究所(Central Road Research Institute、CRRI)の調査研究の結果が紹介されている。調査対象はDMRCの利用客1万人及び交通警察関係者である。

以下はその一例―――。

◆DMRCは1日平均85万人の旅客数を誇るが、これによって1日平均57,953台の乗用車がデリー市内の道路を走らなくても済むようになった。(但し、デリーでは現在600万台の車両登録があり、1日900台が新規登録されているのが現状)

◆この乗用車の減少によって、今年だけでも51件の交通事故を未然に防いだことになる。

◆燃料の消費節約は19億7000万ルピーにも上り、かつ自動車の維持管理にかかる費用27億6000万ルピーを節約した。これにより、温室効果ガスの排出も107,436トン減少した。

◆現時点でDMRCは76kmの路線距離に2600億ルピーを投入しているが、これによる経済効果は今年だけでも550億3000万ルピーに上る。

DMRCの工事担当部長のMangu Singh氏によれば、DMRCの第1フェーズ全体での総便益は、2012年3月末までに1080億1000万ルピーになるという。現時点で投入総額に比べて便益が少ない印象を与えるが、長期的な便益はもっと累積していくのではないかと思われる。

なお、この調査研究レポートについては10月8日付The Hindu紙第4面でも取り上げられている("Commuters opting for metro due to traffic jams")。この記事はDMRCの間接効果の部分ではなく自家用車通勤から地下鉄通勤に変更した通勤客の動機とDMRCのコストリカバリーのスケジュールに注目した内容となっている。

◆地下鉄通勤に切り替えた最大の理由として、通勤客の23.27%が「交通渋滞」、5.14%が「駐車スペースの確保」、16.51%が「通勤時間の節約」を挙げている。

◆乗客数は、2007年が1日500,345人だったが、2009年には850,170人に増えている。また、経済収益率は16.90%から19.98%に上昇した。

◆DMRCの第1フェーズの総費用は、こうした乗客数の増加、経済収益率の向上に伴い、当初見込み(2013年末)よりも2年前倒しの2011年末には回収できそう。(先のHindustan Timesの記述の合わないのだが)第1フェーズの総工費は1,057億1000万ルピーだが、累積総便益は2012年3月には1080億1640万ルピーとなり、総工費を上回る見込みである。

僕も、自宅近所を通る現在建設中の路線が開通する2010年10月頃には今乗っている乗用車を売り払い、地下鉄通勤に変えようかと密かに狙っている。
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