SSブログ

『九州王国』2009年3月号 [インド]

Kyushu.jpgインドでは、週末が3連休が3回も続くお祭りのシーズンに突入している。只今2度目の3連休の最終日だ。それでブログの更新頻度が異常に上がっているのは間違いないが、最近気になっていた記事を纏めてブログに掲載することで滞っていた情報整理がかなりできた気もする。「ブログはバカと暇人のもの」だと言われると確かにそうかもしれないが、おつむの情報処理能力が落ちた40代半ばのオヤジにとってはこうでもしないと後で情報を引き出せない。

本日紹介する月刊誌『九州王国』2009年3月号というのも、ここ数週間メモっておきたい情報リストのトップに挙がっていた。特集記事「グリーンファーザーを知っていますか」が面白かったからだ。特集というからには幾つかの記事で構成されているが、先ずは冒頭の紹介のみ引用させていただきたい。

インド緑化の父・杉山龍丸の生涯
インドでは「非暴力・不服従」で独立運動の先頭に立ったガンジー(Mahatma Gandhi/1869~1948)が「独立の父」「国父」として慕われ、尊敬されていることはよく知られている。一方、ガンジーの思想に共鳴したひとりの日本人が、緑の父「グリーンファーザー」として今なお、インドの人々の心に残っていることを知るものは少ない。福岡出身の杉山龍丸(1919~1987)は、戦後、祖父伝来の四万坪に及ぶ農園を全て売り、自らの資金を投じてインドの緑化に尽くした。それまでの常識を覆し、全く新しい方法でインドの大地に水と緑を呼び戻すために、彼はその後半生を捧げた。人類共通の課題として「環境問題」が大きくクローズアップされる今こそ、すでに四十数年前にさかのぼる彼の足取りを探り、さらにその原点となった彼の祖父、父からの三代に渡る物語をたどることは、おおいに意味があることだろう。グリーンファーザー。それは九州から「世界の緑化」を目指した1人の日本人だった。
杉山龍丸氏の功績については、杉山満丸著『グリーン・ファーザー』雑誌ニューズウィーク日本語版「世界が尊敬する日本人100」でこれまでにも紹介させてもらっているので多言を要しないだろうが、コンパクトに纏まっているという意味では、『九州王国』の特集記事のpp.12-15がお勧めである。前の記事ではあまり功績を整理しきれてなかったので、今回は次の2点で纏めてみた。

デリー~アムリッツァル国道沿いのユーカリ植林
この道路はヒマラヤ山脈と平行して続いており、ヒマラヤの雨水がこの道路から地下に潜っている。そう睨んだ杉山は、ユーカリの根がその水分をせき止め、大地が潤うと判断し、ユーカリを植樹することを提案。この考え方は当時の定説であった「ユーカリのような木を植えれば水が吸い上げられ葉から蒸発し、かえって乾燥が進む」というものと対極にあったが、実際に植樹を始めてみるとその周辺では水分が蓄えられ、農耕が可能になった。1962~64年に苗木作り、その後1972年まで植林は続けられ、今やこのパンジャブ州一帯はインド有数の穀倉地帯となっている。道路沿線のユーカリ並木は見事に成長し、道行く人々に木陰を提供している。

シワリク丘陵の土壌安定化
ヒマラヤ山脈の南裾はシワリクと呼ばれる乾燥砂岩地帯である。シワリクは非常に脆く、少しの雨でも土砂崩れを起こしやすい。インド政府は土壌安定化のために世界銀行の融資を受けて対策実施したものの、コンクリート堰は地滑りを起こして倒壊するという有様だった。そこで杉山は「虎や毒蛇がいるから」という地元住民の忠告を押し切ってこの地域に分け入り、コケや微生物が発達している地域では土砂崩壊が止まっていることを発見。雨期の前のわずか2~3カ月の間に成長する植物「サバダール」という、日本のサツマイモのような品種も発見した。これをこの地域に挿し木すると、土砂崩れしている地表に活着し、その根によって土壌が安定化した。そして、そこにユーカリを植樹して行った。シワリク地域の多くは今や緑に覆われるようになってきている。

特集では、杉山の人となりがもっと詳細かつコンパクトに描かれている。

さて、こうした九州人の視点から杉山の功績を捉えた雑誌の特集というのは大事だなと思いつつ、よくよく考えてみたら、インドでご活躍された、或いは今もご活躍されている九州の方々というのはもっと沢山いらっしゃることにも気付いた。僕がよく取り上げるアグラのハンセン病研究センター(JALMAセンター)の初代所長である宮崎松記博士は、熊本県にある菊池恵楓園の延長でいらした方だし、今ウッタルプラデシュ州バライチ県で地下水砒素汚染対策のプロジェクトを進められているのは宮崎大学の研究チームだし、西ベンガル州カリンポンで標高差を利用した園芸作物栽培を指導されているのは宮崎国際ボランティアセンターの方々である。しかもこのカリンポンのプロジェクトのリーダーである杉本サクヨさんは、昔青年海外協力隊の隊員としてインドに赴任されていたというご経歴の持ち主である。

そのうちまた『九州王国』で特集してもらえないかなとも考える。
nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 3

ウエダ

九州王国編集部のウエダです。

私のブログへのコメント及び、弊誌への嬉しいご感想ありがとうございました!
エントリー読ませていただきましたが、さまざまな問題提起やインドの今を非常に興味深く書かれたものなど、とても面白かったです。
九州からもたくさんの方が渡印してご活躍されているのですね。

弊誌でも「アジアの九州人」というページがあり、さまざまな取り組みをされている九州ご出身の方を掲載しておりますので、書いていただける方がいらっしゃればぜひ、ご紹介いただけると幸いです。


これからもブログ、楽しみに読ませていただきますね。

by ウエダ (2009-09-29 12:33) 

Panda

こんにちは。またおじゃましています。

杉山氏の功績もさることながら、『九州王国』なる雑誌があることに感激しました!私は生粋の九州人ではありませんが、地元を愛して盛り立てようという心意気がなんだか嬉しいですね。
東京を盛り立てようという気は全然起こらないのですが、、、なぜでしょう?
by Panda (2009-10-02 13:08) 

ウエダ

こんにちは。

Pandaさんにも(存在そのものに?)感激していただき、地方の小さな出版社としては嬉しい限りです(笑)。

書いていただいた内容もとっても嬉しかったので、本日の私のブログ内でリンク貼ってしまいました。
宜しかったでしょうか?
もし問題あるようでしたらすぐに外しますので、ご指摘くださいませ。
by ウエダ (2009-10-06 18:29) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0