若手医師、農村への旅立ち [インド]
*元の記事は9月17日付ですが、その後追加記述をしました。
9月16日付Hidustan Times第1面に載っていた記事である。以前、こうした構想があるというのをブログでも紹介した(「新卒医学部生は地方で働け」)。今年1月31日にご紹介したこのお話、施行は2010年からかと思っていたら、既にアッサム州では前倒しで実施されたらしい。
実に結構なことだ。これをきっかけに、農村医療に目覚めて将来の勤務地としても農村部を思い描いてくれる若手医師がもっと増えたらいいと思う。
《以下、追加記述分》
9月18日(金)のThe Hindu紙第14面に、これと関連した別の記事が掲載されていた。
大学を出たばかりの医学生が、どこの病院や保健施設に配属されるのか、その配属の基準が何なのか、医師が自分で勤務地を選べるのか、その辺のことはこの報道だけではよくわからない。こういう制度が利用可能ならば、クシナガルのアーナンダ病院のようなところにも研修医が毎年来てくれるようにもなるかもしれないので、農村の医師不足も多少は解消されるかもしれないと期待はできる。
ただ、これは18日に僕を訪ねて下さった遠隔医療の研究者の方ともお話させていただいたのだが、こういう医師を農村に行かせるための政策と、他方でNRHMの中で言われている医師が農村に行ってくれない状況を克服するための遠隔医療の推進という政策が、相互に足を引っ張り合う形になっているような印象を受ける。この点は新聞を読むだけではよくわからず、保健省の中でどのような議論がなされ、考え方がどう整理されたのかは確認が必要だ。
インド初の農村医師始動
Country's first rural docs roll out
グワハティ発、ラフル・カルマカー記者
ゴータム・ハンディーク、チャンドリカ・ゴゴイ他698人の医師達は、本人達は意識していないものの、水曜日にインドの医学史上に新たな1章を付け加えた。この700人の医師達は、農村部で最低1年間の勤務をこなした後でないと大学院進学の資格が得られないという条件で赴任する初めての政府系の医師となる。
しかもこの条件とは単なる条件以上のものである。医学部生から大学院課程に進まないという選択をした場合は、政府に対して一括で70万ルピーを支払わなければならないことになっている。保健関係の当局者の試算によれば、これが1人の医師を育てるのに政府が投入した金額だという。
全国農村保健計画(National Rural Health Mission)のJ.B.エクタ局長は、本誌の取材に対し、マハラシュトラ州でも同様に医師を農村部で勤務させようと試みたが失敗に終わり、計画見直しに追い込まれたという。「この見直しによって、私たちは条件付きの任命という方法を思いついたのです。私たちが発信したメッセージは多くの人々の心を掴んだと思います。医学部卒業したばかりの学生1500人もの申請を受けたからです。」
この1500人のうち、700人が水曜日に任命状を手渡された。残る若手医師も後日任命状を受け取る。全員が後進地域のミニ公衆衛生センターや診療所に配属される予定である。
9月16日付Hidustan Times第1面に載っていた記事である。以前、こうした構想があるというのをブログでも紹介した(「新卒医学部生は地方で働け」)。今年1月31日にご紹介したこのお話、施行は2010年からかと思っていたら、既にアッサム州では前倒しで実施されたらしい。
実に結構なことだ。これをきっかけに、農村医療に目覚めて将来の勤務地としても農村部を思い描いてくれる若手医師がもっと増えたらいいと思う。
《以下、追加記述分》
9月18日(金)のThe Hindu紙第14面に、これと関連した別の記事が掲載されていた。
農村での業務を終えた医師の入試成績に「下駄」を
Additional weightage for doctors with rural services
【ニューデリー発】1年間の農村での業務経験につき、10%の追加ウェートを入試成績に加算する――次年度より大学院入学試験を受験する医師に対して、このような優遇措置がとられることになった。アザド保健・家族福祉大臣は、記者会見において、このウェート加算は、医師が1年間の農村研修医期間を終えた後も農村に残った場合、最大3年間で30%まで適用されることも明らかにした。同様に、大学院の定員の50%が最低3年間遠隔地で勤務した政府の医療担当官のために優先配分される。
「これは医師やパラメディカルに農村で働いてもらうための大きなインセンティブになるでしょう。」――アザド大臣はこう述べた。
医療スペシャリストの数を増やすため、政府は大学院の定員を増やすことも決めた。現行教員に対する医学院生の割合は1対1とされてきたが、今後これを広い専門領域を持つ教授や特殊領域の専門医については1対2とする。医学院生が増えることは乗数効果で自ずと教員数も増えることを意味する。このように、追加的な資源投入やインフラ整備を行なわずとも、医学院生の数は増やすことができ、現在の13000人の定員数は今後毎年5000人ずつ増えていくものと見込まれている。
アザド大臣はさらに、医科大学の設立に必要な用地面積を現行の25エーカーから20エーカーに緩和させることも発表した。しかし、山間地の多い北東州や全国農村保健計画(NRHM)の重点強化対象州、政府直轄領にも配慮し、10km以上離れていなければ医科大学のキャンパスを2つに分けることも認めるとしている。逆に、用地確保が難しい大都市では、複数階建ビルの医科大学設置も認められる。この場合の用地面積は10エーカーでも可能とする。
州政府はまた、県病院の施設を公設民営として利用可能な場合は、医科大学を民間とのパートナーシップにて設立することも認められる。会社法に基づき冬期された企業が医科大学を設立することも認められる。
(後略)
大学を出たばかりの医学生が、どこの病院や保健施設に配属されるのか、その配属の基準が何なのか、医師が自分で勤務地を選べるのか、その辺のことはこの報道だけではよくわからない。こういう制度が利用可能ならば、クシナガルのアーナンダ病院のようなところにも研修医が毎年来てくれるようにもなるかもしれないので、農村の医師不足も多少は解消されるかもしれないと期待はできる。
ただ、これは18日に僕を訪ねて下さった遠隔医療の研究者の方ともお話させていただいたのだが、こういう医師を農村に行かせるための政策と、他方でNRHMの中で言われている医師が農村に行ってくれない状況を克服するための遠隔医療の推進という政策が、相互に足を引っ張り合う形になっているような印象を受ける。この点は新聞を読むだけではよくわからず、保健省の中でどのような議論がなされ、考え方がどう整理されたのかは確認が必要だ。
コメント 0