ケンドー・インディア [インド]
Kendo India Federation
稽古日: 毎週日曜日 10時30分~12時00分
場所: Indra Health Home, Banjara Hills Rd. #7, Hyderabad
(Beside E-Seva Centre, Opposite to More Market)
URL: http://www.geocities.com/kendoindia/
ハイデラバードにある「インド剣道連盟(Kendo India Federation)」のシディク・マフムーディ代表より、「一度デリーに会いに行きたい」というメールをいただいたのは数週間前のことだった。マフムーディ代表とインド剣道連盟のことは、僕がインドに赴任してきた2年前から知っている。2007年9月にハイデラバードに出張する機会ができ、それだったらお目にかかってデリーで稽古できる場所がないか聞いてみようと面談アポを取ろうと試みたことがあるのだ。丁度その時期はマフムーディ氏はバンコクに駆け込みで段級審査を受けに行っていたらしく、面談は実現しなかった。それに、「デリーに道場はあるか」との質問に対して彼はちゃんと答えてくれていなかった。
この直後、僕は全日本剣道連盟の面識のない先生からメールを頂戴した。「怪しい人物とは付き合うな」という警告めいたメールだった。曰く、①インドは国際剣道連盟(FIK)にそもそも加盟していない、②奇をてらって受け狙いで剣道を志す輩が多い、とのこと。確かにマフムーディ氏に一種の怪しさは感じた。剣道は何段なのかわからなかったし、柔術マスター、忍術マスターといった、余計な肩書まで付いている。全剣連の先生が仰るように、触らぬ神に祟りなしかもしれない。僕はそれ以降ハイデラバードに行く機会もなかったし、彼もデリーには来なかった。
そのマフムーディ代表の動きが再び活発になったのは、デリー在住の日本人の有志の数名が日本人学校で剣道の稽古を始めた頃からだ。彼は僕のメルアドを知っているから、居ても立ってもいられなくなった彼は、自分も稽古に参加させて欲しいとメールを打ってきた。この「剣印会」は稽古を日本人学校体育館を借りて行なっているから、日本人学校関係者か日本人会会員でないと稽古への参加資格がないし、そもそも僕自身が当時道着と防具を日本から持って来ておらず、参加の可否を云々できる立場になかったので、「そりゃ無理だよ」とつれない返事を返しておいた。その後、どこからか僕の会社の代表名まで割り出し、「スポンサーになって欲しい」とレターまで書いてきた。
そのマフムーディ代表から「会いに行く」と言われたら、嫌だなと正直思った。しかし、何かのついでがあってデリーには来るのだろうから、会わない理由を探すのは僕には難しかった。だから、連休前の今日(13日)、僕の職場で彼の訪問を受けた。
実際に率直に話してみて、結構まともな人だなと思った。
ただのハイデラバードの一道場が「インド剣道連盟」を名乗る違和感は、これだけ広い国土を持つ国で、防具を付けて剣道の稽古ができるインド人が7人しかいないという現状からすればやむを得ないことかもしれないと思う。何故インドが国際剣道連盟(FIK)に加盟していないのかと尋ねたところ、彼は「FIKの加盟資格は六段の先生が恒常的に指導している競技環境にあること」であり、インドで六段の先生を確保すること自体がそもそも難しいと説明してくれた。六段の剣士がたまたま日本企業の駐在員としてインドに赴任してくることはあり得ない話ではないが、恒常的に確保できるかというとかなり疑問だ。
FIKに加盟していないから国内で段級審査が受けられない。現在彼の道場には防具着用して稽古ができるインド人剣士は彼を含めて7人しかいないが、この7人プラスデリー剣印会の8~9人がこの広大なインドにおける剣道競技人口の全てである。そもそも段級審査のやりようがないのだ。従って、指導をしているマフムーディ代表自身も未だ初段すら持っていない。(2年前にバンコクに飛び込みで段級審査を受けようと行ったらしいが、そもそも3ヶ月前に申込みが締め切られていたことすら知らなかった。僕らにとっては昇段審査の事前申込みなど当たり前のことであるが、彼らにとっては未だそれすら新たな知識だったのである。)
また、7人程度の競技人口では、全剣連が先生を指導に送り込むというわけにもいかない。マフムーディ代表がやたらと外でのデモンストレーションをやっているのは、せめてハイデラバードでだけでも剣道に関心を持つ人を増やしていかないと、日本から先生を招聘することすらかなわないという事情があったからだと思われる。
ただ、このインド剣道連盟のHPはちょっといただけない。TOPページはタージマハルを背景に蹲踞する2人の剣士の写真である。おまけに垂がお尻の方を向いている。そんな写真ではドン引きする。しかも、彼が送ってくれた活動レポートの挿入写真は、青空の下での剣道のデモンストレーションだったり、居合いの実演だったり、どこかの剣道の試合会場で関係者と一緒に写ってたり、そんなのがやたらと続く。しかもデモはデモで実演している剣士がへっぴり腰であったりと、とにかく剣士に洗練さがなく、何となく地に足が付いていない印象を受けた。
《こんなアングルの写真、見たら引くわな。竹刀もなんだか違うし…》
だから率直に言った。こんなスペシャルイベントの写真ではなく、普段の地道な稽古の写真をHPでもっと使うべきだと。日本からだけではなく、ハイデラバードなら米国のIT企業からの出張者が大勢いる筈である。そうした出張者が防具や竹刀を出張に携行するかどうかは、ハイデラバードでいつどこで剣道の稽古ができるか具体的な情報があるかどうかで判断する。スペシャルイベントの写真だけでは剣道をただの「見せ物」として売っているグループとしか思ってもらえない。ちゃんと稽古をやってますというのをアピールした方がよい。
聞けば毎週定期的に稽古はやっているという。防具着用者は7人しかいないが、道着だけは着ている子供剣士が結構いる。実際の稽古風景を見てみないとわからないが、ちゃんとした指導も受けずに稽古をやっているだけエライとは思う。ハイデラバードに行く機会がある剣士の方は、是非日曜日を挟んで出張されてはどうだろうか。
《マイナスボタンを何度かクリックすると、地図が拡大されます。》
このままではインドが国際剣道連盟に加盟する日は近い将来には絶対あり得ないだろう。だからこそ、稽古相手に恵まれないインド人剣士に少しでも稽古をつけられるハイデラバード出張予定の方は、是非稽古ができる準備をしてお越しいただきたいなと思う。
などと「インドでの剣道の普及」などというデカイ話を述べると、また怒られるかもしれないが、あくまでも個人の稽古機会の充実を考えて、僕はハイデラバードに出稽古に行ってみたいなと考えるのである。
はじめまして。
2008年9月にインド剣道連盟と稽古をしたものです。
僕自身まだ未熟で、その時は外国人と稽古をするというだけで
興奮していただけでした。
Sanchaiさんの記事の内容も共感できところもあります。
自分は本当に無責任なことをしてしまったんだなと思いました。
反省。
by Fumio Nozaki (2009-09-01 08:52)