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『「質問力」で勝つ!』 [読書日記]

「質問力」で勝つ! (新講社ワイド新書)

「質問力」で勝つ! (新講社ワイド新書)

  • 作者: 和田 秀樹
  • 出版社/メーカー: 新講社
  • 発売日: 2009/04
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
これでコミュニケーション能力がぐんと高まる。「質問力」と「回答力」が一体になれば恐いものナシ、質問の仕方で、意外な答えが生まれる、返事の明るい人は信頼される、質問と返答は、わかり合うためのやりとり、など、「なぜ?」がいい結果を引き出す、人生のビッグチャンスを生む会話力。

この手の本は何冊も読むものではないなとしみじみ思った。「質問力」という言葉に魅かれ、値段も大したことなかったので買ってみたけれど、読んでみると期待とちょっと違っていた。

なにしろ本書はタイトルほどは「質問力」を中心テーマに据えていない内容である。「回答力」という別の概念を持ってきて、コミュニケーション力を上げるには「質問力」と「回答力」が両方備わっていなければいけないという。そのくせ、日本人は高い回答力を身に付けていて質問力に乏しいところが問題だと言ってみたり、だから質問力をもっと磨こうという主張を展開するのかと思っていたら、途中から「回答力をどう磨くか」というテーマに移ってみたり…。

言っていることは間違っていない。多分どれも正しい。1年前にさんざん読んでいた「質問力」や「インタビュー型ファシリテーション」の本で書かれていた論点とそんなにずれているとも思わない。気の利いた質問を繰り出して相手をノリノリにして、ついつい本音をしゃべらせるというテクニックは、まさに「インタビュー型ファシリテーション」のそれである。以前読んだ『コンサルタントの「質問力」』には、この質問力を「仮説力」「本質力」「シナリオ力」という3つの概念で説明し、かつインタビューの前提として相手の心を開かせることの必要性が強調されていた。今回読んだ本の著者は「質問力」と「回答力」という整理をしていたが、「回答力」というのは相手の質問に対して質問の本質を的確につかむことと、予め質問を想定して回答を準備しておけるというシナリオライティングの能力のことを言っているに過ぎないように思える。

でも、だったらいずれの能力にも欠けてる僕らはその能力をどのように強化していったらいいのかというよりプラクティカルな記述が本書には決定的に欠けている。正直この本を読んで、「明日からこうしてみよう」という具体的な方法が殆ど思い付かなかった。心構えしか書かれていないような気がした。

ただ、1点本書の意義を述べるとすれば、単に昔読んだ本を読み直すというだけではなく、新刊本を読んで考え方をリフレッシュする、或いは昔学んだことをこれを機会にレビューしてみるという意味では良かったように思う。質問する場合は事実を尋ねる質問を積み重ねていくことが必要だというのは改めて本書を読んでも感じたし、また相手のことを尋ねる質問を繰り出して自分が相手のことに関心を持っているというのをわかってもらうようにもしていく必要があると痛感した。何よりも、今の自分が職場で交わしている会話の中で、僕がしゃべる割合と相手にしゃべらせる割合が今の比率で本当に良いのかという点を振り返ってみる良いきっかけになった。

1日で読み切ったので「時間の無駄」と言えるほどじゃない。多分誰が読んでもものすごく速く読み切れると思うが、一時帰国中の割と早い時期に購入しておきながら読むのを後回しにしてきたのは、何か引っかかるものがあったのではないかと振り返ってみると思える。

この著者はやたらと名前をよく耳にする。その意味では斎藤孝、樋口裕一等に類する系譜の著者だと思う。あまりに多作だと有難味も薄れる。なんだか印税確保に貢献してしまったという後味の悪さがどうしても残ってしまう読書だった。
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