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Social Security for the Elderly [読書日記]

Social Security for the Elderly: Experiences from South Asia

Social Security for the Elderly: Experiences from South Asia

  • 作者: S. Irudaya Rajan
  • 出版社/メーカー: Routledge India
  • 発売日: 2009/12/31
  • メディア: ハードカバー
The articles in this volume give an overview of the process of aging in India, Bangladesh, Pakistan, Sri Lanka and Nepal, whose elderly population is expected to reach 400 million by 2050. Based on field surveys, the volume documents the existing policies and programmes on pensions and social security, and examines their fiscal implications for the economy and society. It also raises questions about the need for pension reforms, health care systems for the elderly, universalizing social pensions and so on. Within this broad context, the book proposes to identify the modalities of a comprehensive pension and social security scheme for the elderly in these five South Asian countries.

インドで人口高齢化問題を考える上で、僕にとっての最後の大物研究者はケララ州にあるCentre for Development Studies(CDS)のイルダヤラジャン教授である。僕がインドに来てからこれまでイルダヤラジャン教授のお話は2度聴ける可能性があったのだが(それ以前にも2度ほど接近遭遇していた可能性もある)、いずれもちょっとのところでスケジュール的に都合がつかず、残念ながら面識はない。2月にCDSのあるトリバンドラムの専門家会議に出た時も、3日目に同教授の講演が予定されていたのだが、教授の都合で講演が午後に延期されたため、帰りのフライトに乗るために僕は泣く泣く会場を後にせざるを得なかった。これまでアラム教授やゴカレ教授に直接お目にかかってきた僕にとって、イルダヤラジャン教授は最後の大物だ。

ただ、イルダヤラジャン教授は極めて多くの論文を書かれていて、その多くがウェブ上でダウンロードできる。その意味では神秘の研究者ではない。そのうち面談する機会もあるだろう(なきゃトリバンドラムの教授のオフィスに押しかけていく!)が、イルダヤラジャン教授の主張は比較的予習しやすいと思う。元々はケララ州の出稼ぎ労働者の人口移動の問題について幾つかの研究レポートを著された方であるが、1990年代からインドの人口高齢化に着目して幾つかの著書もある。

そのイルダヤラジャン教授が南アジア域内諸国の社会保障研究者と共同研究を主催し、編者として結果を取りまとめたのが本書である。GDN(Global Development Network)という世界の開発研究者のネットワークの南アジア地域ネットワークであるSANEI(South Asia Netowrk of Economic Research Institutes)が助成した共同研究プロジェクトで、人口高齢化の諸問題の中でも所得保障と健康保障、即ち年金と医療保険の比較制度研究に重点を置いた内容となっている。インドの他に、パキスタン、スリランカ、ネパール、バングラデシュの事例報告があり、南アジア地域を概観するには最適の1冊だろう。

僕も自分の関心事項を考えれば、南アジア地域の概観と分析枠組みについて描かれた第1章とインドの事例報告が述べられた第2章の合計約100頁程度を読んだだけでこのブログ記事を書いている。この2章はイルダヤラジャン教授自らが執筆したものだ。

内容については詳しくは紹介しないが、非常に参考になった点を紹介しておく。

第1に、参考文献リストの充実度合。第1章、第2章の参考文献リストは、インドの高齢化と高齢者を取り巻く諸問題について、それなりの先行研究の蓄積があるということを実感させるに十分な分量だった。その中でも興味をひかれるのがイルダヤラジャン教授ご本人の著作であり、この後幾つか入手して読んでみたいと思った。

第2に、元々僕は中央政府の施策に加えて、どの程度まで州政府が独自施策を打ち出しているのかという点にまでは関心があったのだが、それよりも下部の単位でどのような取組みがなされているのかにまではアンテナが張りきれていなかった。特定地域独自の自主的取組みとか、職業単位での自主的取組みとかはないものかと思っていたのだが、本書を読んで少なくとも職業単位での自主的取組みとしてのベストプラクティスがケララの漁民組合にあるというのを初めて知った。勿論、中央-州という対比軸でも参考になる記述が幾つかあった。

第3に、導入されている社会保障制度についての概観があったのも参考になった。年金制度だけが詳述されている文献とか、医療保険制度だけが詳述されている文献とかであれば他にも心当たりはあるが、それらを包括的に高齢者社会保障という枠組みで説明されている文献は今まで読んだことがない。(単に勉強不足ということですが[たらーっ(汗)]

第4に、全国標本調査NSS(National Sample Survey)の結果を多用している研究報告であり、NSSの見方や利用方法について、少しだけ勉強することができた。NSSのデータは僕達でも利用可能なので、同じ切り口で何年かに1回は行なわれている標本調査の結果を比較することで、トレンドを調べたりもできるということが今回は少しだけわかった。第2章でイルダヤラジャン教授はNSSの調査結果を多用してそこから読み取れることを解説されている。この点についてはインドにいて定説となっていることがかなり多くて図表を読むのをスキップしたくなる衝動に何度も駆られたが、むしろ加工される前のNSSのデータがどのようなものかに興味が湧いた。

最後にこぼれ話。実は本書を読み始めたのはカトマンズに家族旅行に言っている間だったが、たかだか100頁を読み切るのに異常に時間がかかってしまった。この間非常に忙しかったというわけではないが、花粉症かシックハウス症候群かはわからないがとにかくくしゃみ・鼻水・鼻づまりで夜も熟睡できず、何をするにも集中できない状態が続いている。鼻の通りがちょっとでも良いとうつらうつらし始め、詰まるとすぐに目が覚める、或いは少し眠っていても口呼吸だと夜中に喉が痛くなって目を覚ましてしまう、といった具合で、とにかく熟睡できずに苦しんでいるところである。

だから、取りあえず100頁分読み切れたところで、ホッとしたというのが正直なところだ。3週間近くもかけて100頁だから、何を学んだのかと言われるとかなりつらい。だから、このような記事の書きぶりになってしまった。
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