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インド人メジャーリーガー? [インド]

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今年のオフも何人かの日本人がメジャーリーグ挑戦を表明している。社会人ナンバーワンの新日本石油・田沢は早々にレッドソックス入りが決まった。ドラゴンズファンの僕としては、川上憲伸投手がどこへ行くのか、ジャイアンツを首になった元中日エース左腕の野口茂樹投手がメジャー挑戦を表明して拾ってくれる球団があるのか、関心あるのはそんなところだろうか。

さて、本日の話題はインド人メジャーリーガー。クリケットが国技のようなこの国で、「ベースボール」が話題となること自体が珍しいが、11月26日付のHindustan Timesの24面に、ピッツバーグ・パイレーツとマイナー契約を結んだインド人選手の記事が写真入りで出ていた。11月25日に2人の若者がインド人としては初めて米国プロ野球チームと契約を結んだということで話題となっているのである。

この2人の名は、リンクー・シン君(Rinku Singh、20歳、左投げ)、ディネッシュ・パテル君(Dinesh Patel、19歳、右投げ)。2007年3月にムンバイで行なわれた「100万ドルの腕(Million Dollar Arm)」コンテストで、3万人の参加者の中から選ばれた。シン君はウッタル・プラデシュ州バドーヒ(Bhadohi)、パテル君も同州バラナシの出身。85マイルを投げる腕を持つことが評価され、2人はコンテストで選ばれた後、今年5月に渡米して専門のコーチから投球指導を受けていたらしい。(今さらだけど、この頃のNDTVのニュースでその報道を見た記憶があるが、新聞報道にはならなかったので、何のことだかわからずに結局ブログでも紹介しなかったという経緯がある。)シン君は9人兄弟の末っ子、パテル君も5人兄弟だとか。

この報道には続報がある。同じくHindustan Timesの11月27日版第1面、ムンバイ連続テロの第1報を報じる第1面の片隅に、「野球が埃からお金を得る夢に力を与える(Baseball powers dust-to-dollar dreams)」という記事を見つけた。この記事によると、パテル君は4年前、15歳の時にバラナシ郊外のカンプールという埃まみれの村で、ラクノウのグル・ゴビンド・シン体育大学(Guru Govind Singh Sports College)に入学するために3500ルピーを稼ごうと働いていたことがあるらしい。

「100万ドルの腕」コンテストで、シン君は優勝して10万ドルを獲得した。パテル君はシン君よりも速い球を投げたがストライクでなかったために優勝を逃した。しかし、パテル君も体育大学の同期であるシン君とともに米国でのトレーニングに招待されたのだそうだ。シン君はトラック運転手の息子、パテル君は母方の叔父の家で育てられた。母親と精神的な問題を抱えた父親はパテル君を育てることができず、カンプールの叔父夫妻が預かった。2人は体育大学で槍投げ競技に属し、パテル君の方は槍投げのインド・チャンピオンになったこともある。

2人の育った環境について聞いていると、中米ドミニカやキューバ、ベネズエラあたりからメジャー・リーガーを輩出しているの何か通じるものを感じる。2人の出身がインド最貧困州の1つウッタル・プラデシュ州だというところも、野球がチャンスを与えてくれる夢のスポーツであるというのを感じさせないでもない。2人がこうして米球団と契約したことで、彼らの育った村では、クリケットに代わって野球がメジャーなスポーツとなりつつあるそうだ。

クリケットのナショナル・チームを見ていると、代表選手の新陳代謝があまりなくて同じ選手がいつも出てくる。選手選考が固定化しているというのを感じる。クリケットで大きな夢を掴むというのはあまり考えられないのかなという気がする。それに比べたら野球はちょっと違うのではないか。

メジャー・リーグの市場開拓は東アジアを遥かに越えて南アジアにも橋頭保を築こうとしている。
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みかんママ

先日のテロで、インド市場や産業の低迷が懸念されていました。
でもこの記事を拝見して、インドは大丈夫だと思えました。

事後処理などで引責辞任の報や色々な話がマスコミを通して入ってきますが、
現地でもまだ混乱冷めやらない状況なのでしょうね。
お見舞い申し上げます。
by みかんママ (2008-12-01 08:29) 

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