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SOS、ビハール北部の大洪水 [インド]

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毎年のことながら、ビハール州北部のインド・ネパール国境付近というのは洪水に襲われる。去年も起こっている。僕の上司がカトマンズからデリーに戻るフライトの窓から外を眺めていて、地上が泥水の海と化しているのにショックを受けたと語ってくれたことがある。その洪水が今年はもっと深刻な状況をもたらしている。NDTVが報じているところによると、8月30日現在、死者数は67人にのぼり、同州の約半分に相当する15県が水没し、100万人が避難を強いられているという。影響を受けている住民数は250万人である。特にひどいのはスパウル(Supaul)、サハルサ(Saharsa)、アラリア(Araria)、マデプラ(Madhepura)、カティハール(Katihar)の5県で200万人である。シン首相は28日に非常事態宣言を出し、100億ルピー(250億円)の緊急支援と12万5000トンの食糧支援を行なうと発表した。
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今年の洪水はなぜ深刻なのだろうか。直接のきっかけは、例年より降水量が多いモンスーンの影響で、8月17日にネパール国境からビハール州に流れこむコシ川の堤防が決壊したからである。コシ川はネパールからインドに入ってガンジス川に合流する川であるが、今回の堤防決壊によって川の流れが変わってしまった(下記地図参照)。

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現地入りに先立ち、27日にシン首相はビハール州のニティシュ・クマール州首相と協議した。「インド・チャネル」によれば、その際、クマール首相は、ネパール政府とインド政府の怠慢が今回の被害をもたらしたと非難したそうだ。問題のコシ川堤防は1954年4月にインド・ネパール間で締結された「コシ水利条約」に基づき、1956年に完成した。耐久年数は30年とされていたが、その後必要なメンテナンスが何ら実施されていなかったという。ネパールでは両国が締結した「コシ水利条約」に基づき、ネパールの洪水被害者に対する賠償金をインド政府に要求すべきとの声も上がっており、インドは左翼主導の新政権が誕生したばかりのネパールとの関係維持に苦慮するものとみられている。

今回の洪水は、例年の増水とは違い、洪水によって起きている。だから流れも速く、住民の多くが備えができていなかったものと思われる。NDTVの報道によると、救助用ゴムボートが速い流れのために転覆して20名の死者を出したという痛ましい出来事も起きている。また、現地は食糧だけではなく飲料水にもこと欠く状況で、泥水を飲んでいる被災者もいるとの報道もある。

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インド政府は2001年のグジャラート大地震災害時を除き、外国政府からの緊急援助を受け入れていない。国際機関とNGOに限って受入れを行なっている。
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