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映画のチカラ [インド]

昨日、NDTV24x7の朝のニュースを見ていたら、映画俳優が教育普及に協力といった内容の報道が何度か取り上げられていた。そこで流れていた短編映画[カチンコ]がクールだったので、ついつい調べてみたくなった。

制作したのはチェンナイに事務局を置くアガラム財団(Agaram Foundation)である。この財団、HPで調べてみたところ、スリヤ(Surya)というタミル映画の俳優が代表を務めるNGOで、教育の普及を通じた社会変革をそのミッションにしている。今回の教育プロモーション短編映画『Herovaa Zerovaa』[カチンコ]もその一環として、タミル・ナドゥ州の教育委員会と共同で制作されたようで、主に学校のドロップアウト(落第というよりも学校自体に来なくなることを指す)問題に対する啓蒙普及を狙っている。

登場するのは、スリヤの他に、ジョティカ(Jyotika)、ヴィジェイ(Vijay)、マダワン(Madhavan)という4人の俳優さん。石切り場で働きながら文字の練習をしようとして現場監督に叩かれる少年、飲んだくれのオヤジに稼ぎが足らんと叩かれる村の少女、町を訪れる外国人観光客に物を売ろうと試みるが言葉がわかってもらえずしつこいと突き飛ばされる少女、そしてクリケットに興じて学校の授業をすっぽかしている少年達―――こうした子供達のもとにこのクールな4人が登場して、子供達を取り巻く大人に働きかけるとともに、子供達自身にもこう説得する。
「学校に行って勉強をすれば、君達だってヒーローになれるぞ。」
(タミル語だからよくわからない[たらーっ(汗)]が、多分そう言っている。)
hero-zero-23.jpg
そして4人を先頭に子供達の行進が始まる。沿道の子供達は次々と行進に加わり、学校へ学校へと向かう。4つの行進グループはやがて合流する。4人の俳優が並んで先頭を歩くその姿はホントにカッコいい[exclamation×2]そして子供達が教室に戻る姿を見て、4人はまた叫ぶ。
「これで君達はヒーローだぞ。」
(タミル語だからよくわからない[たらーっ(汗)]が、多分そう言っている。)

この映画は5月15日にマスコミや映画関係者、政府関係者に公開された。この試写会に出席したタミル・ナドゥ州のカルナニディ首相は、この映画には教育普及を妨げる4つの問題が見事に描かれていると評価した。それは、「児童労働」「親の無理解」「勉強への無関心」「女性の教育機会」だという。

こうして映画は完成・公開され、次のステップはどのようにこれを使っていくかに移っていく。タミル・ナドゥ州政府はあらゆる手段を使ってこの映画の活用を図っていくという。500本以上のDVDが作られ、ケーブルネットワークに配布される。

映画俳優が主体となってこういった社会変革を目指すNGOや財団を形成し、元々映画関係者が得意とするメディアを用いてそのビジョンの達成を目指すというのは、とてもインパクトの大きい活動であると思う。俳優が率先してそうした活動に加わっていくこと自体、彼ら自身が自分達の持つ潜在的な力を十分自覚しているからである。もう1つタミル映画界に関して言えることは、こうした若手俳優の目標でもある「スーパースター」ラジニカーントが、まさにこうした映画俳優による社会貢献事業の先駆者であるということが大きいと思う。クリケットの会場で財力に任せて自分が所有するチームの応援で踊っているどこかの俳優と比べると意識が全然違う。

是非一度ご覧あれ。

Herovaa Zerovaaのプロモーションビデオはこちらから。結構カッコいいぞ[exclamation×2]

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daland

こんばんは。
お越しいただきありがとうございます。
よろしくお願いいてします。
by daland (2008-05-18 22:26) 

むんむん

こんにちは。
タミル映画やヴィジャイのファンで、たまたまこの記事にたどりつきました。
このニュースって、タミル以外のインドでも広く報じられていたんでしょうか?サンチャイさまの日記、興味深く拝見しました。

トラックバック送らせていただきました。
by むんむん (2009-03-14 00:42) 

Sanchai

☆むんむんさん☆
コメントありがとうございます。むんむんさんのブログも拝見させていただきました。さすがタミル語がおわかりになり、かつタミル映画に造詣がある方の記事はわかりやすいですね。
by Sanchai (2009-03-14 04:32) 

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