思い出の本-後藤竜二 [読書日記]
- 作者: 後藤 竜二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1967/01
- メディア: 単行本
後藤竜二著『天使で大地はいっぱいだ』を小学校の図書館で読んだことがある方は非常に多いのではないかと思う。先日、チッチーと「パパは小学生の頃どんな本を読んでいたのか」とう話をしていた時、真っ先に思い浮かんだのが本書である。発刊が1967年とあるから、1970年に小学校に入学した僕は、発刊から8、9年経ってから本書を読んだことになる。どうりで図書館で見つけたその本は結構汚れていた筈である。
その本が面白いと気付いたのはクラスメートMSだった。それがクラスの話題となり、クラスメートの間で返却と借出しを繰り返すことになった。少なくとも当時のクラスの男子児童の間では、本書は一種のブームだった。しかも、一度ならず二度三度と読んだ記憶がある。お陰で「キリコ」(主人公のクラスの担任となる新任教師・木山霧子)という名前は僕の脳裏に相当深くインプットされていて、本書の影響だとは気付かずとも「キリコ」と聞くと何かときめくものを今でも感じる。(磯野貴理子はダメですが・・・)
僕が少年時代を過ごしたのは岐阜なので、本書の舞台である北海道については当時行ったことも見たことも聞いたこともなかった。本書を読んで、北海道の雄大さを垣間見たような気がした。農業が生計として成り立つ生活というのを、本書を通じて初めて知ったような気もした。
このタイトルでグーグル検索をかけると、結構この本について思い出を語っている人が多いのに気付く。僕と同じように小学生時代に読んだことがある人が多いのである。例えば、SYU'S WORKSHOPというサイトではあらすじに加えて当時どのように感じながら読んでいたのかまでエッセイ風に書かれている。また、財団法人大阪国際児童文学館の「子どもの本100選」には、あらすじだけではなくご丁寧に表紙や挿絵のイラストまで掲載されていてこの記事を書くのに参考にさせていただいた。
- 作者: 後藤 竜二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1981/02
- メディア: -
さて、これらの後藤作品、小学校卒業以来全く読む機会もなく20年以上過ごしていたら、2000年2月頃、当時住んでいた多摩の市立図書館でたまたま見つけ、本編・続編を続けて読んだ。当時で既に30代後半だったが、そんな僕でも結構楽しくかつ懐かしく読める作品だった。今我が子が小学生になって本当はこういう作品を読んで欲しいなと思うのだが、「ずっこけ三人組」シリーズなんかを見ていると、う~ん、ちょっと違うなという気がしてならない。少し前に紹介した古田足日作品は舞台が都市部なので多少の改訂で現代にも通じる作品になり得るが、北海道をとりあげた後藤竜二作品は舞台自体に特徴があるため、多少改訂したところで現代風に脚色することなど難しくなってしまっている。何せ炭鉱労働者は重松清著『カシオペアの丘で』では主人公の一世代前の話として扱われているくらいであり、炭鉱労働者の父を持つ小学生の話というのはいくらなんでも現代には通用しないと思う。
我が子に対しては胸が張って薦められない作品ではあるが、間違いなく僕の小学校高学年の頃を彩った作品である。そして、当時20年ぶりと言われたリーグ優勝を成し遂げ、僕の小学校高学年時代を彩ったもう1つの事物である中日ドラゴンズは、53年ぶり日本一にあと1勝まで迫っている。
初めて聞く題名の本でした。
キリコというと、なんなくエスパーみたいな印象があります。
by 降龍十八章 (2007-11-01 13:47)
児童文学作家の後藤竜二氏死去
2010年7月6日11時20分配信 時事通信
後藤 竜二氏(ごとう・りゅうじ、本名隆二=りゅうじ=児童文学作家)3日午後4時ごろ、脳内出血のため東京都新宿区の病院で死去、67歳。北海道出身。葬儀は近親者で済ませた。喪主は妻亮子(りょうこ)さん。
67年に「天使で大地はいっぱいだ」でデビュー。「12歳たちの伝説」シリーズや「キャプテン」シリーズなど著書多数。94年、「野心あらためず 日高見国伝」で野間児童文芸賞を受賞した。日本児童文学者協会会員。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」代表。
ご冥福をお祈りします。
by Sanchai (2010-07-06 22:35)