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ガンジーへの道 [読書日記]

ガンジー―インドを独立にみちびき、非暴力によって世界を変えた人

ガンジー―インドを独立にみちびき、非暴力によって世界を変えた人

  • 作者: マイケル ニコルソン
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 1992/03
  • メディア: 単行本


内容(「BOOK」データベースより)
腰布とサンダルしか身につけなかったガンジーは、なぜこのように有名なのでしょうか?職業ももたず、財産とよべるものは、何ひとつもつことがなかったガンジー。しかし、ガンジーが暗殺されたとき、その葬儀には、世界の半数以上の国の代表者たちが参列しました。ガンジーは、イギリスから、その帝国の宝石であったインドを、戦争もなしに手放させ、独立に導いたのです。ガンジーは、現代の聖者でした。その信念のうち、何よりも大切なのは、非暴力主義で、不正とたたかうには暴力を使うほかないのだという迷信をやぶり、不正をうちくだき、勝利をもたらしたのです。小学中級から大人まで

先々週末の国際基督教大学(ICU)でのシンポジウム以来、インドに行くならガンジーのことを少し勉強しておいた方がいいのではないかと考えていろいろと行動に移している。先ずは、山川出版社の『南アジア現代史Ⅰ』を読み、学習マンガを読んだ。ガンジーの生涯について大筋では把握できたので、次のステップとして、小学校中高学年以上からを読者として想定した伝記を読んでみることにした。

本書を読むことにしたもう1つの理由は、昨日(10日)に行われた公文式学習教室の成果発表会の席上で、公文教育研究会の先生が講演をされた中で、読み聞かせの効能についてかなり強調されていたからでもある。この講師の先生は、OECDの「生徒の学習到達度調査」で読解力世界一になったフィンランドと、14位だった日本の比較研究を行った結果、最も有意だった変数が「父親による読み聞かせ」であったと述べ、だからお父さんがもっと子供達に本の読み聞かせをしてあげて欲しいと結論付けた。(フィンランドのように休暇をやたらと取れる社会と日本のように長時間残業が当たり前の社会を単純に比較して、日本のお父さんもフィンランドのお父さんのようにしなさいと言われても困ることは困るのだが…)

幸い、ラインの仕事から外れて海外赴任の準備をしている現在は、午後9時には自宅にいることが多いため、その気になれば読み聞かせができる。そこで、小学生向けの伝記を何回かに分けて朗読すれば、子供達にガンジーについて少しは知ってもらうこともできるし、自分も学ぶことができると考えた。(先述の公文の先生によれば、読み聞かせの脳内活性化効果は聴いている子供達以上に読み手の方に出るのだそうだ。)

読み聞かせに先行して1冊を通して読んでみたが、その中で学んだキーワードを幾つか挙げておきたい。

  • 「サティヤーグラハ」――真理の力、愛の力。相手に苦痛を与えることによってではなく、みずからを苦しめることによって、真理を把握すること。
  • 「バガヴァッド・ギーター」――ヒンドゥー教の教典
  • 「サマカーヴァ」――苦しみにも、悲しみにも、心を乱されてはならないこと。ガンジーの原則の1つ。
  • 「アパリグラーハ」――ものを所有しないこと。精神的な豊かさは、貧しい暮らしの中でこそ到達できるとするガンジーの原則の1つ。
  • 「アヒムサ」――すべての生きものに対する非暴力。
  • 「アーシュラム」――自治農場

伝記を読んだ上で、1982年に制作された映画のDVDも観ることにした。というのは、今回紹介した伝記に挿入されている写真の何枚かは、映画『ガンジー』からの転用であるからだ。伝記本の方は、南ア滞在時代にガンジーが指導した坑夫ストライキを追い散らそうとする軍隊のシーンや、ガンジーが英国に反旗を翻すきっかけとなった1919年のアムリットサル虐殺事件の発砲シーン、国産品使用(スワデーシー)運動の契機となった1929年の「塩の行進」のシーン等で映画のカットが使われており、それによって非常に迫力のある伝記本に仕上がっているように思えた。

3時間10分も要する大作であるが、その中にガンジーの生涯が無駄なく納められており、インド農村地帯の映像やラヴィ・シャンカールのBGMとともに、視聴者を飽きさせない作りとなっている。1983年のアカデミー賞受賞作品である。 

ガンジー コレクターズ・エディション

ガンジー コレクターズ・エディション

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2006/02/01
  • メディア: DVD

「塩の行進」の部分の描かれ方などを見ていると、グローバル化への対抗軸として地域内で入手可能なローカル資源をもっと活用しようという現代の市民運動に通じるものがあるのかなという気がした。また、上でキーワードとして挙げた「アーシュラム」が示す通り、ガンジーは大量生産・大量消費を求めない自給自足的なコミュニティを理想としている。現代でいう「持続可能な社会」の理想がそこにはあるような気がした。こうして見ていくと、ガンジーの思想やその実践は、現代の僕達が直面するグローバル化、地球環境問題などにも示唆が多く、影響力の大きいものであったということがとてもよくわかる。その先見性は驚きである。


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