SSブログ

『部下力』 [読書日記]

部下力―上司を動かす技術

部下力―上司を動かす技術

  • 作者: 吉田 典生
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 新書

内容(「BOOK」データベースより)
「部下力」とは、上司(リーダー)の指導力を引き出し、上司のやる気を支える力。卓越したリーダーシップの陰に必ず存在するのが、優れた「部下力」である。もし困った上司に出会ったら、まずそのタイプを見定めよ。「イノシシ型?」「モンキー型?」「借りネコ型?」…本書はあらゆるタイプに対応する「部下力」発揮法を教えてくれる。上司さえ操れれば、停滞する職場の霧が晴れ、未来が拓ける。最新のコーチング理論を“逆発想”で応用した、今日から役立つ新鮮な組織論。

昨年1年間の間に、著者吉田典生氏は、2冊の本を出している。いずれも読んでいる。なぜなら、上司と部下という関係性について書いている人は実はあまりいないからである。できない部下をどう使いこなすかといった組織運営のハウツー本はいっぱいあるし、できの悪い上司をどういなしてさっさと帰るかといったハウツー本も多い。でも、できない部下をどう育てるのかとか、そのために上司はどう変わる必要があるのかといったことまで述べている本は意外と多くないというのが印象である。別の言い方をすれば、中間管理職の僕の立場で見た場合、課長と僕の関係、僕と僕の部下との関係という2側面でものを考えて頭が混乱するような思いをさせられる本は実はあまり多くなくて、吉田典生氏の分析枠組みは唯一そうした思いを抱かせるものである。
 
これまで読んできた2冊は、部下を育てるため(あるいは部下が育つため)には上司も変わらなければならないという視点で書かれていたと思うが、本日紹介する1冊は、それよりも前の著作であり、部下の視点から見て、部下が気持ちよく仕事できるようにするには、上司に対してどのような働きかけが必要なのかが述べられている。前に紹介した2冊を読んだ際には、結局上司が変わってくれないと部下はついていけないということかという不満を感じたが、著者としてはそれ以前の著作で、上司を自分好みに変えるために部下に何ができるかを考えていたということになる。上司を選ぶことはできないのだから、部下にできることは今いる上司をいかに動かして働きやすい環境を作るかを考える必要があるということなのだろう。
 
但し、上記の紹介文の中で言及されている「バカ上司のタイプ分け」については不満が残る。吉田氏はバカ上司を10タイプに類型化しているが、実際に僕の周りにいる上司や、上司としての僕自身と照らし合わせた時、ある特定のタイプにピッタリ当てはまるという上司は実はいないのではないかという反論をしたくなった。僕の前の上司は、言うことが正しすぎて棘が多い「AIロボット型上司」と部下に「考えること」を止めさせる「カリスマ上司」の2つの特徴を持っていたように思うが、僕自身を分析すると丸投げ志向の「遠投クン」に近いが部下の負担を省みないわけではないし、今の僕の上司に至っては該当するタイプが思いつかない。(該当するものがないということは、バカ上司ではないということなのかもしれないが、完璧な上司でもないなぁとは思う。)また、バカ上司をこのように類型化した以上、その後の記述も、バカ上司をタイプ別にしてどのように働きかけるべきかをわかりやすいようにまとめた方がよかったのではないかと思う。単純な話、読みにくい本だなという印象が強い。
 
バカ上司を類型化したところで、結局のところ部下から上司に対する働きかけとしてできることは、どのような上司に対してであっても自分が質問力をつけることで最低50%は解決が可能であるとしている。著者が言いたいのはこれであろう。上司は部下の話を聞けないのだから、部下が「もっと聞く」ことから新しい関係作りを始めることが部下には求められるし、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」に確認力を加えて、上司の曖昧さを補うことも必要であろう。部下としてあまりに尖がると「出る杭は打たれる」ことになってしまうが、「打たれない出る杭」になるためには、上司の考えや気持ちを引き出す質問力を磨くことが必要ということになる。
 
直接問いかけることが必要なのだろう。最近はメールのCCに上司を入れておけば報告・連絡はしたことになると思っている人が多いような気がするが、相談や確認行為というのは口頭でのコミュニケーションをもっと必要とする。結局のところ、突き詰めれば当たり前のことをちゃんとやろう、メールで済ませるのではなくちゃんとコミュニケーション取るようにしようよと言っているのではないかと振り返ってみると思える。
 
なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?

なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2005/12/08
  • メディア: 単行本
 
「できる人」で終わる人、「伸ばす人」に変わる人

「できる人」で終わる人、「伸ばす人」に変わる人

  • 作者: 吉田 典生
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2006/05/24
  • メディア: 単行本

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0