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市民講座「少子高齢化と日本経済」(第9回) [少子高齢化]

 第9回(7月8日)                                                              「人口減少経済の新しい公式」                                                                   講師:松谷明彦・政策研究大学院大学教授

松谷明彦教授といえば、2004年に発売になった下記の著書がベストセラーになり、人口問題に関して現在引く手あまたの研究者である。今回の市民講座がスゴイと感心するのは、前々回の八代尚宏先生といい今回の松谷先生といい、人口減少や少子高齢化を論じるのに一線級の識者を集めてきていることである。はっきり言ってしまえば、今回の講座の1つの目玉であると思う。

                                                          松谷明彦著『「人口減少経済」の新しい公式』                                          2004年5月、日本経済新聞社


出版社/著者からの内容紹介
戦後日本が初めて経験する人口減少は、経済社会に規模縮小にとどまらない多様な変化をもたらす。人口増加のエネルギーを失った日本が向う先は? 個人の生活から企業経営、政策まで、縮む世界の発想と行動様式を示す。

僕は松谷先生のこの著書を昨年読んだことがあるし、また日本経済研究センターが主催したシンポジウムでパネリストをしておられたのも見たことがある。わりと明瞭なロジックではっきりものをおっしゃる方という印象だが、その論旨には突っ込みどころもあり、他のパネリストから反撃を食っていた。

《本日の学び》                                                    1.古事記は日本最古の人口学の書。黄泉平坂の逸話などは、生まれる人が死ぬ人よりも多ければ人口が増えるということを示唆している。

2.世界には一時的に人口が減少した国はあったが、日本の人口減少は一時的なものではない。ずっと減り続けるのが特徴であり、世界的には前例がない。従って、日本が上手く取り組めれば世界に向けた手本ともなり得る。

3.「出生率が低下するから少子化に繋がり、少子化が進むから人口減少に繋がる」という三段論法で考える論者は多いが、実は「低出生率」と「少子化」、「少子化」と「人口減少」の間の因果関係は必ずしも正しくはない。

4.人口減少の原因は、死亡者数が今後急増するからである。これから大正・昭和のベビーブーム期に生まれた世代がこれから寿命を迎える。人口減少の原因は人口高齢化にある。

5.少子化の原因は出生率の低下ではない。子供を産む女性の人口が減っているからである。25歳から39歳の女性は2000年には1300万人だったが、これが2030年には800万人にまで急減する。

6.どこの国においても、平均寿命が伸びると合計特殊出生率が低下する傾向がある。

7.子供をふやすための政策というのには反対である。(他の政策目標を設定するのであればあり。)何のために子供が増える必要があるのか考えを整理しておく必要がある。子供を増やすために様々な政策を実施しても効果が上がらないと思う。人口が減少しても豊かな社会とはどのようなものなのかを考えるべき。

8.経済への影響を考えると、確かに経済は縮小する。ピークは2010年代の前半であろう。労働力人口が減って企業の生産能力が縮小するのが問題。労働者数は、今後20%ぐらいの大幅減が見込まれる。しかし、GDPは減少するが、1人当り国民所得で見た場合はそれほど落ち込まない

9.人口減少下の企業の売上減は、人口減による需要不足よりも、労働者減による生産能力の落ち込みによるものである。従って、被雇用者数が減少するのだから、人件費の軽減も考えられるわけで、マイナス成長だといっても企業の業績悪化に即繋がるというものではない。

10.但し、これまでの薄利多売の企業経営は変えていく必要がある。大量に売れないし、大量に作れないわけで、より高付加価値で利益率の高い製品の開発が必要となってくる。

11.年金については、先行き明るい見通しは立たない。1960年代の産児制限は、そのお陰で高度経済成長が実現したというポジティブな面もあるものの、今となってはこのことが人口動態上大きな影響を残しており、それが今になって効いてきた。年金制度の改革(負担増、給付額減)は持続可能性に問題あり。むしろ、年金ではなく、住宅、公園といった社会資本のストックを整理し高齢者の生活負担を軽減する取組みが必要。

12.財政については、人口減少社会では、これ以上の国民の税負担増は避けるべき。1人あたりの財政負担額はこれまで右肩上がりで増え続けている。今後は人口が減少するのだから、1人当り財政負担額を下げていく努力が必要。行政のサービス水準を引き下げて、一部を家族や地域・コミュニティが担っていくような社会の設計が必要となろう。


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