下流社会 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)
「下流社会」とは具体的にどんな社会で、若い世代の価値観、生活、消費は今どう変わりつつあるのか。マーケティング・アナリストである著者が豊富なデータを元に書き上げた、階層問題における初の消費社会論。
昨年9月に発刊され、昨年下半期のベストセラー上位にランキングされた本である。そのうち読もうと思っていていつも間にか9ヶ月も過ぎている。ようやく図書館で借りることができ、ワクワクしながら読み始めたが、正直言うと、読みづらかった。買わないで借りて正解だったとも思う。
読みづらい原因ははっきりしている。図表がやたら多く、解説がくどい。本文と図表を対比させて読まなければいけないので、300㌻近くもある本なのになかなか読み進められない。この手の新書だったら、電車通勤を2往復くらいやれば読めてしまう筈なのだが、途切れ途切れの読書になってしまい、読み終わった頃には、序盤に何が書かれていたか殆ど思い出せない。アマゾンのカスタマーレビューの意見を読むと、多くの読者が僕と同じ感想を持っていることがわかる。
本のタイトルを見れば何が書かれているのか一目でわかってしまう。それを図表を駆使してくどくどと解説するのはいかがなものだろうか。新書なのだから、変にサポートデータを掲載するよりも、結論は何なのかをスパッと述べるだけで100㌻ぐらいは紙面を節約できそうな気がする。
ここで書かれている分析はだいたい当っていると思う。そして、僕はどの階層に属するのかを考えてみたのだけれど、残念ながら僕は1960年代前半に生まれた「新人類」世代に相当するため、本書が上流と下流の二極分化が著しいと見る1970年代前半生まれの「団塊ジュニア」世代のような重点的な分析がされていない。ただ、団塊ジュニア世代の分析を見ていて感じるのは、僕自身は上流とも下流ともどちらともいえない、どちらの性格も有しているということがいえるように思った。
そして、著者が指摘する極めて重要なポイントを1つ挙げるとするならば、次のものだろう。今は上流と下流の二極化が進んでいるのはやむを得ないことかもしれないが、下流階層の夫婦の間にできた子供に、下流としてのライフスタイルやキャリアパスを押し付ける状況は作るべきではない。親が下流でも子供が上流を望んだ場合に上流になれるチャンスがちゃんとあるということが重要なのではないかと思う。
タグ:三浦展
ご訪問ありがとうございました。
ご指摘のとおり、グラフやパーセンテージの表記など見づらい部分もありました。
結果、斜め読みのような感じになってしまいましたが…
どの階層の子供にも平等にチャンスがあってほしいと思います。
by 水無月 (2006-07-02 17:03)