わかったつもり [読書日記]
西林克彦著、 『わかったつもり―読解力がつかない本当の原因』 光文社新書、2005年9月
後から考えて不充分だというわかり方を「わかったつもり」とこれから呼ぶことにします。この「わかったつもり」の状態は、ひとつの「わかった」状態ですから、「わからない部分が見つからない」という意味で安定しているのです。わからない場合には、すぐ探索にかかるのでしょうが、「わからない部分が見つからない」ので、その先を探索しようとしない場合がほとんどです。
「わかる」から「よりわかる」に到る過程における「読む」という行為の主たる障害は、「わかったつもり」です。「わかったつもり」が、そこから先の探索活動を妨害するからです。(本文より一部改変して抜粋)
実質2日ほどでこの本を読んで「わかったつもり」になるなと言われるかもしれないが、敢えて少々辛口の感想を言わせていただきたい。この本を読んだら、ひょっとしたら国語のテストでは点を稼ぐのに役に立つかもしれない。確かにその通りだなと思えるところもあるのだが、「だから何?」という疑問も結局最後まで拭えなかった。
僕の課題は、いかに短時間で多くの情報を収集できるかにある。だから、むしろ「フォトリーディング」のような速読の技術に関心がある。短時間で読んで効率的に必要な情報を抽出できるようになりたいと思っている。ところが、この本で言われていることは、「文脈」をつかむのに注意を払えということで、言い換えれば細心のリーディングを心がけよということだった。これは、一発で読み取れなければ何度も読めということか、或いは読むのにじっくりと時間をかけよと言われているようなものである。著者はそこのところを明確に述べずに人が「わかったつもり」になるメカニズムを丁寧に述べている。
勿論、文章を読む時だけではなく、仕事上のやりとりで「言った言わない」が生じたり、部下がこちらの思った通りに動いてくれなかったり、会議の内容をわかったつもりでいたら他の参加者の理解と違っていたり、そんなことが生じてしまうのも、同じようなメカニズムなのかと考えたら、本書を読んで少しは知っておくことも必要かもしれないが…。
関連のブログ記事 http://blog.so-net.ne.jp/bookmarker/2005-11-01 http://blog.so-net.ne.jp/dokushonikki/2005-12-27
うちのBLOGトラックバック、ありがとうございました。
トラックバック返し(って言うのか?)が苦手(うまくできない(-_-;)なので、
コメントさせていただきました。
by dokushonikki (2006-03-06 16:46)